ダイオライト記念が11日(水)に
船橋競馬場で開催される。スタミナとスピードが求められる特異な舞台設定に加え、今年は無観客での開催が決定。異例の一戦とはなったが、今年もバラエティに富んだ好メンバーが集結する。そこで今回は浅野靖典が同レースの歴史と見どころを解説。徹底的に調べ上げるおなじみの“小ネタ”では、謎の傾向が発覚して…?
「
ダイオライト記念に
JRA所属馬が出走できるようになった1996年は、
ホクトベガが優勝。続く1997年も
JRAの
デュークグランプリが制したが、98年と99年は地元所属の
アブクマポーロが勝利を飾った。
船橋競馬場の2400mは年に1回だけ使用される距離で、地方所属でこのレースを制した
アブクマポーロは
石崎隆之騎手、2002年の
インテリパワーは
張田京騎手、04年の
ミツアキタービン(笠松)は
東川公則騎手、08年と09年を制した
フリオーソは
戸崎圭太騎手と、リーディング上位の騎手が手綱を取っていた。
しかし2010年以降の優勝馬はすべて
JRA所属。2017年は大井の
ユーロビートが2着に入ったが、勝った
クリソライトとの差は6馬身。5月に実施された2011年は船橋の
カキツバタロイヤルが2着に入ったが、それも優勝した
スマートファルコンからは8馬身の差がついていた。
船橋コースの特徴といえばスパイラルカーブ。1コーナーと3コーナーがゆるやかで、2コーナーと4コーナーが急な角度になっているその形は、航空写真で見ると“角がまるい平行四辺形”という感じだ。その舞台への適性が高いと大きなアドバンテージになるのは、
クリソライトの3連覇が示すとおり。昨年の2着馬
アポロケンタッキーもレース前の時点で船橋での連対率が100%だった。
一昨年は
ケイティブレイブが勝ち、それ以前の
クリソライトや
ニホンピロアワーズなどを含めて、近年の勝ち馬は重賞実績が豊富な馬たち。しかしながら今年の
JRA所属の出走予定馬で、重賞タイトルを持っているのは
アナザートゥルースだけ。今年の
ダイオライト記念は、例年とは違うと考えておくほうがいいのかもしれない。
そこで注目できそうなのが、過去の実績。2014年以降の
ダイオライト記念では『前年の9月以降に“左回りのダート1800m”で4着以内に入ったことがある』という馬が“1頭だけ”連対しているのだ。
なんと、
JRA所属でこの実績を持っている馬はゼロ。右回りも含めると
ウェスタールンドが該当するが、同馬は今回が初めての
地方競馬となる。
一方、地方所属の出走予定馬には該当馬が何頭か。この点からも、例年とは違う雰囲気が伝わるだろう。
もうひとつ、
ダイオライト記念には“謎”の傾向がある。それは1着馬と2着馬が『内枠』と『外枠』の組み合わせになるケースが多いこと。具体的には『1〜5番』と『6番より外』で、2008年以降の12年でみると、その結果になったのは10回。これも頭のなかに入れておくといいかもしれない」
(文=浅野靖典)