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【勝負の分かれ目 金鯱賞】成長したサートゥルナーリアが、世代最強から現役最強へ

  • 2020年03月15日(日) 19時10分
 稍重で始まった芝コースは、第9レースから良に回復していた。

 昨年の最優秀3歳牡馬サートゥルナーリアの年明け初戦として注目された第56回金鯱賞のゲートが開いた。

 12頭がほぼ揃ってゲートを出た。クリストフ・ルメールが騎乗するサートゥルナーリアも速いスタートを切った。今日はパドックでもリラックスしており、下げ気味にした首を伸ばして、気持ちよさそうに歩いていた。

 メンタル面での落ち着きは走りにも現れており、正面スタンド前でルメールが、短く持った手綱を抑え気味にすると、周りの馬たちを先に行かせる。そのまま1、2コーナーを回り、5番手の外目にポジションを固定した。

 昨年、ダービー4着、天皇賞・秋6着と東京で結果を出せなかったため、左回りの適性を不安視されていた。また、今日は別定の58キロを背負っていた。

「左回りは問題ありませんでした。レース前も心配していなかった。1、2コーナーも、3、4コーナーも、馬のバランスがよかったです」とルメール。

 向正面では、サトノソルタスの2馬身ほど後ろにつけ、行きたい気持ちを抑え、引っ張り気味ではありながらも、折り合って走っていた。ルメールはこう話す。

「休み明けは大切です。今日はスムーズなレースをしたかった。いいポジションを取って、冷静に走ってくれました」

 4コーナーでも抜群の手応えのまま、外を回って前との差を詰め、直線へ。

 ラスト400mを通過しても、ルメールは手綱を持ったままだ。

 ラスト200m地点で前の馬たちに外から並びかけた。ルメールが軽く仕掛け、さらに手綱をしごく動きを大きくすると、どんどん後ろとの差を広げて行く。ノーステッキのまま、ゴールまでの4、5完歩は流すようにして、2着を2馬身突き放した。

「最後はいい脚を使って、前の馬をかわしてくれました。まだエンジンがあります。この馬でもう一度勝つことができて嬉しいです」とルメール。

 エキサイトしやすいところがあるので、無観客だったことがプラスに作用した面はあったとしても、強かった。

 始動戦でさらに成長した姿を見せた世代最強馬サートゥルナーリアが、現役最強の座へ、確かな一歩を踏みしめた。

(文:島田明宏)

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