「
地方競馬記者コラム 仕事 賭け事 独り言」
新型コ
ロナウイルス感染拡大防止のため、多くの
スポーツイベントが中止、延期が多く実施されている中、競馬など公営レースは中止に至らず、「無観客」という形で開催がほぼ通常通り行われている。記者が担当する園田競馬でも無人スタンドの中、馬場ではいつも通りの熱い戦いが繰り広げられている。その間、注目される売り上げだが、無観客となった初日の3日(火曜日)に関すれば4億142万8600円で、前年の3月最初の開催日だった19年3月5日火曜日の3億4102万600円と比較して、「まさかの増額」。その後はやや減額となってはきているが、園田競馬は大幅な売り上げ減という数字に至っておらず、3週間が推移している。
馬券の購入方法はインターネットでの投票だが、まさかこれほどの依存度に達していて、また伸びてきていたとはアナログ世代の記者は本当に驚くばかりだ。記者も余儀なくされてネット投票での参加となったが、馬名が表記されているためマークカード使用時での塗りミスがなく、おつりの取り忘れもなく、ポンコツ化してきた当方にとってはメリットが多いことが分かってきた。
ただ、園田競馬の毎開催日に開門から列を作って下さるファン、またウインズ梅田でシャッターが開く前から並ばれているファンはともに、ほとんどが年配の方々ばかり。ネット投票限定となった今、競馬を楽しんでいらしゃるのか疑問に思う。先日、記者は予定していた札幌行き断念の報告を当地の先輩に連絡したが、「外に少しずつ出られるようになったが、競馬(JRA)をやっているのに競馬場(札幌競馬場)で馬券は買えないし、琴似(帯広ばんえい場外施設で南関東を併売)で大井も買えない。中止でもないのにやれない。コ
ロナって何なんだよ」と嘆いていた。
先輩はパソコン、スマホを持っていないし、ITとは無縁の
アラウンド70世代。前記したコアなファンも多くが同世代と見られるだけに、同様に楽しみを奪われているのではないだろうか。ネット投票で楽しめる我々の今があるのも、半世紀前からずっと馬券と戦い続け、競馬の発展を支えてきたこの世代の方々のおかげでもある。オールドファンを置いてけぼりにしているいまの状況は本当に心苦しいばかりだ。競馬を愛する全てのファンが競馬場に戻れる日が一日でも早く来ることを切に願う。(関西
地方競馬担当・工藤 修)
提供:デイリースポーツ