昨年9月に北海道の牧場で名馬のたてがみが切り取られる事件が発生した。発生から半年以上たった3月27日に北海道警は、埼玉県川口市の55歳の女が事件に関与したとして、器物損壊容疑で逮捕した。
女は昨年9月13日に日高町の
ヴェルサイユリゾート
ファームを訪れ、
安田記念(1998年)や仏GI・ジャック・ル・マロワ賞(1998年)などGI・5勝の
タイキシャトル(セ26)と2010年の
ジャパンCなどGI・2勝の
ローズキングダム(セ13)のたてがみの一部を、刃物で切り取った容疑が持たれている。
タイキシャトルを所有する認定NPO法人引退馬協会の沼田恭子代表は、一報を受けて以下のようにコメントを出した。
「被害馬の一頭である
タイキシャトル号の所有者として、容疑者が逮捕され安堵しております。
ヴェルサイユリゾート
ファーム様はじめ捜査にご協力いただいた皆様、容疑者特定にご尽力いただきました警察関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
鬣(たてがみ)を切るという行為は、馬にとってもストレスとなり、間違えば怪我をする可能性もあるばかりではなく、馬の繋養先のご厚意と見学者の良心の上に成り立っている馬の繋養展示そのものを揺るがしかねず、容認できるものではありません。
類似の犯罪が発生しないよう、預託施設と連携しながら牧場見学マナーの啓発に努めて参ります」
昨年9月には日高町の日西牧場に繋養されている1993年の
菊花賞などGI・3勝の
ビワハヤヒデ(牡30)や、浦河町の優駿ヴィレッジAERUで余生を過ごしている1993年のダービー馬
ウイニングチケット(セ30)も同様の被害に遭っており、道警はその件についても女が関連しているかを調べる方針だ。
(取材・文:佐々木祥恵)