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【マリーンC回顧】マイペースで逃げると強いサルサディオーネ(斎藤修)

  • 2020年04月03日(金) 18時00分
 サルサディオーネは大井に移籍して4戦目。クレイジーアクセルと逃げ争いとなって共倒れとなったのがTCK女王盃エンプレス杯で、報知グランプリCと今回はマイペースに持ち込んでの逃げ切り勝ち。中央時代の4勝、そして地方に移籍しての2勝、いずれも逃げ切りという典型的なタイプ。

 サルサディオーネにとっては、今回宿敵クレイジーアクセルが不在となり、あとは自身より内枠に入ったラインカリーナが競りかけてくるかどうかだったが、果たして、ラインカリーナ武藤雅騎手は外の様子をうかがいながら好位に控えた。それは当然だろう。主張すればサルサディオーネが譲らないというのは、前走エンプレス杯で見ている。

 サルサディオーネには、前日に降り続いた雨の影響が残っての先行有利な馬場も味方した。その勝ちパターンのラップタイムはめずらしい。2走前に逃げ切った報知グランプリCの最初の3Fが11.6-12.0-12.7で、今回も11.9-12.3-12.6。最初の1Fが速くて、そこから徐々にラップを落としている。

 一般的な流れであれば、スタート直後はあまりダッシュがつかず、スピードに乗った2F目が11秒台に速くなる。サルサディオーネはスタート自体はそれほど速くないものの、その後のダッシュが速い。それで一気に先頭に立ってペースを落とす。報知グランプリCも今回も、外枠ゆえなおさらゲートを出てからのダッシュを効かせたということはあったかもしれない。

 サルサディオーネのハマったときの強さは、単独で先頭に立っても極端にはペースを落とさないこと。12秒台の淡々としたペースでラップを刻んでいって、後続勢にも脚を使わせる。直線で自身の脚が上がっても、後続にも伸びてくる脚はない。今回はタイムの出やすい馬場もあって、最後の1Fに13秒台(13秒3)のラップがあっただけで直線は独走。道悪ではよくあることだが、2着以下はバラバラの入線で、能力差以上に着差が開く結果となった。

 2馬身差の2着に入ったのが、的場文男騎手が手綱をとったメモリーコウ。1コーナーを回ったところでは中団6番手だったが、ハナをとったサルサディオーネのペースと見たのだろう。向正面に入ると徐々に位置取りを上げていき、3コーナーあたりでは射程圏にとらえたかに思えた。しかし十分に溜めをつくれたサルサディオーネに直線で突き放されてしまった。

 レースの上り(=逃げ切ったサルサディオーネの上り)3Fが38秒8のところ、38秒5で上ったスマートフルーレが3着。直線で脚を使ったものの、勝負どころの3コーナーあたりでまだ中団だったという差は大きかった。これで未勝利から11戦連続で3着以内を続けていて、持てる能力を発揮できていない感じだ。

 以下は差があって、地方移籍初戦だったラビットランが5着。今回は4カ月ぶりの実戦で馬体重プラス34kg。デビューした2歳時から5歳になった昨年1月まではずっと450kg前後で変動がほとんどなかったが、そこから1年ちょっとで都合48kgも増えている。調整が難しいところがあるのかもしれない。

 ラインカリーナは6着。サルサディオーネを行かせたのはよかったが、間にいたストロングハートにまで前に行かれたのは誤算だったかもしれない。それで1〜2コーナーでは4番手まで位置取りを下げてしまった。今回はJpnII(関東オークス)勝ちがあっての別定2kg増、初めて背負う57kgも厳しかった。

 前走初ダートのエンプレス杯で3着に入り、混戦の中でも1番人気に支持されたパッシングスルーは9着。中団追走のまま、向正面から追い通しで位置取りを上げていくことすらできなかった。前回騎乗していた森泰斗騎手が「初ダートで返し馬から戸惑ってたし、前半は進んでいかなかった」と話していて、そこからの良化はなく、道悪の初ナイターなど、むしろ悪条件が重なってしまった。

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