GIに格上げされてから最少となった12頭の出走馬が
大阪杯のゲートを飛び出した。
最も速いスタートを切ったのは、
ミルコ・デムーロの
ラッキーライラックだった。
「今日は仕上がりがよく、集中していた。スタートを上手く出てくれました。(前走の)
中山記念は反応が悪かったけど、今日はスタートからぜんぜん別の馬だった」とデムーロ。
出たなりで先頭に立った
ラッキーライラックは、外から上がってきた
ダノンキングリーと
ジナンボーを先に行かせた。
ラッキーライラックを管理する
松永幹夫調教師はこう振り返る。
「スタートがすごく決まって、いい位置取りになりましたね。自分から取りに行ったのではなく、自然とあの位置になったことが大きかったと思います」
1、2コーナーを回りながら
ダノンキングリーと
ジナンボーが並走に近い形で先行し、
ラッキーライラックは、それら2頭から2馬身半ほど離れた内の3番手を進んだ。向正面なかほどでは、その差は4、5馬身にひろがっていた。
3、4コーナーでも
ラッキーライラックの手応えは抜群だった。
「馬銜を取って、準備していた。馬がひとりで伸びてくれました」とデムーロ。
しかし、前には
ダノンキングリーと
ジナンボーがいて、外を
クロノジェネシスに塞がれている。行き場がないまま直線に向いた。
最内の
ダノンキングリーと、その外の
ジナンボーと
クロノジェネシスの3頭が、前で壁となっている。
デムーロは、
ジナンボーと
クロノジェネシスの間ではなく、
ダノンキングリーの直後につけて、スペースができるのを待った。ラスト200m地点で
ダノンキングリーと
ジナンボーの間にスペースができると、そこから一気に突き抜けた。
「スペースがあってよかった。展開が上手くいきました。最後はすごくいい脚だった」とデムーロ。
ラッキーライラックが先頭でゴールを駆け抜け、昨秋の
エリザベス女王杯以来となるGI3勝目を挙げた。
序盤でエネルギーを溜めながら好位置を確保し、直線でスペースができるのを待ったデムーロの騎乗は見事だった。
(文:島田明宏)