ミカエル・ミシェル旋風が去って1週間、南関東の競馬場では無観客開催が続いている。
話題のミシェルだけに毎日、勝っても負けても写真をデスクから求められるので、何か変わった物が撮れないかと考えていると、ミシェルの騎乗馬が勝負服と同じデザインのメンコを着けていた。メンコとは馬の覆面を指し、一般的には耳に覆いがついた物で、音に驚いたり、砂をかぶるのを嫌がる馬に使用する。その馬は浦和の
工藤伸輔調教師の管理馬で
ピカリン。その他にも多数の管理馬がおしゃれでかわいいメンコを使用していた。
そこで工藤師に話をうかがいに行った。今から約10年前に浦和の
長谷川忍調教師が厩務員だった時に調教でピカチュウメンコを着けていた。「面白いし、ファンに喜んでもらえる」と思い、1作目のピカチュウメンコを作成。ここにコスプレメンコ厩舎が誕生。「今まで100枚以上作ったね、1番のお気に入りは、くまモン風メンコ」だそうだ。
メンコの生地は工藤師自らが買ってくることが多い。特に決めずに見に行って気にいった物があれば買ってくる。布のストックはまだ家にたくさんある。そして生地を馬具屋に持ち込み細かく指示を出して作成してもらう。ひとつのメンコの制作代金は4000円くらい。特にミシェルメンコは制作が大変だったらしく馬具屋から「もうこういうのは止めてください」と言われたそうだ。
そこで気になるのがメンコに規定はないのかということだ。工藤師が言うには「メンコに特に規定はない、いまだにあのメンコは大丈夫なのかと問い合わせがあるらしいけど」。メンコにつけてあるマスコットはファンの方が作ってくれるそうで、「絶対に取れないよ。私が自分でつけているから」と笑顔をみせた。
工藤師の新作メンコはあの人気漫画のキャラクターをモチーフにした「鬼滅の刃」メンコを4種類作成。「無観客開催が終わったら、仲のいい調教師さん、馬主さんの賛同を得られれば、ひとつのレース4種類のメンコを着けて走らせたい」と語った。その真意は馬券を買う人と馬や騎手を見に来る人、どちらも楽しませたいし、ファン層も広げたいとの思いからだ。
ぜひともその際はしっかりと写真に収めたい。みなさんも一度競馬場にきて生で見てほしい。
ちなみに冒頭の勝負服メンコを見たミシェルは「
カワイイ、
ウレシイ、
アリガトウゴザイマス」と少しだけ上手になった日本語で工藤師に感想を述べた。
最後に工藤厩舎の
サバイバルオオオクは、3月29日に亡くなった志村けんさんがオーナーだった
トノノオナリーを母に持ち、皮肉な事に誕生日が命日になってしまった。(関東
地方競馬担当・持木克友)
提供:デイリースポーツ