無敗の2歳女王
レシステンシアの
トライアル敗退で風雲急を告げる2020年クラシック開幕戦・第80回
桜花賞(12日=阪神芝外1600メートル)。出走予定馬の中で唯一、負けを知らない
デアリングタクトの存在感ががぜん増してきた。果たして本物か、偽物か…。地道な周辺取材を重ね、その正体を暴き出すのは、「必ずホシを挙げる」が口癖の栗東の“捜査一課長”高岡功記者だ。
ローラー作戦の末に見つけた真実とは果たして!?
基本的にGIで強いのは「王道ローテ」を歩んできた馬たちだ。ダービーなら
皐月賞からの直行組。
有馬記念なら
ジャパンCから転戦してきた馬たち。裏を返せば、「傍流」と言われるローテで参戦してきた馬たちは、たとえ見た目の勝ちっぷりが鮮やかでも、強力メンバーが揃う本番ではいいところなし、というケースがほとんどなのだが…。
仮に負けた陣営から「あの馬はめちゃくちゃ強かった」という証言が複数出てきたとしたならどうか?本番でも要注意の例外的な扱いをするべきなのでは。
エルフィンSを勝った
デアリングタクトはまさにその該当例だ。直線で軽く仕掛けただけで、あっさり4馬身突き抜ける楽勝劇。これには敗れた複数の陣営から驚嘆の声が上がった。
「あの馬はちょっとモノが違う。他の馬が止まって見えるかのような脚を使っていたからね。
チューリップ賞組と比較しても見劣りしないんじゃないかな。それくらいのインパクトがあった」
こう証言したのは
エルフィンSで4+2馬身半差の3着に敗れた
スマートリアンの石橋厩舎・小原助手だ。
この
スマートリアンは次走の
チューリップ賞で5着止まりながら…。単純に勝ち馬との着差だけでいえば、
エルフィンS=1秒1、
チューリップ賞=0秒3。三段論法では
チューリップ賞勝ち馬
マルターズディオサの0秒8先に
デアリングタクトがいた計算になる。
「あの馬は確かに強いと思いますよ。一頭だけ抜けた脚を、それも楽々と使っていましたから。本番でも怖いラ
イバルになりそうですね」
こちらは
エルフィンS4着馬
エーポスの北出厩舎・中村助手の感想だ。
1秒2ちぎられたこの馬が次走の
フィリーズレビューを勝ったことも、
デアリングタクトが“本物”であることを補強する証しとなろうか。
「馬っぷりでいうと、そこまで見栄えのするタイプではないんですけどね。実際に乗ってみると、瞬発力のありそうな走りをするし、追い切ってもすぐ息が入るように、心肺機能も高いんでしょう。で、競馬ではあれだけの走りを見せてくれる。テンションが上がりやすいので、そこだけが課題ですかね」
淡々とこう話すのは当の
デアリングタクトを担当する池水助手。あくまで傍流ローテからの出走だけに、そうプレッシャーは感じていないようだが…。新馬→
エルフィンSと連勝。負けを知らないことこそが何よりの魅力。コ
ロナ禍による世の中の重たい空気を吹き飛ばさんばかりの激走が、十分に期待できると思っている。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ