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【東京スプリント回顧】ダート短距離に新星ジャスティン(斎藤修)

  • 2020年04月09日(木) 18時00分
 JpnIIIながら、ダート短距離路線のトップクラスが顔を揃え、そのとおり人気にもなった。しかし勝ったのは重賞実績のないジャスティン。2着、3着にも地方重賞でようやく勝ち負けという南関東所属馬が入り、やや波乱の結果となった。

 逃げ切り快勝となったジャスティンは、前走千葉Sでも強い勝ち方を見せていたが、今回も実績馬相手に充実ぶりを見せた。

 とはいえいくつか恵まれた面があったことも確か。逃げ馬にとって大井1200mの内枠は包まれてしまったときのリスクはあるものの、ハナをとってマイペースに持ち込めれば断然有利。加えて今開催の大井は内枠で逃げた馬の好走が目立っていた。

 ジャスティンはスタート自体があまり速くないのはいつものことだが、二の脚の速さで難なく先頭に立った。断然人気のコパノキッキングは9番枠ということもあって無理には競りかけていかずピタリと2番手。前半3F通過34秒7は、この距離では落ち着いたペース。

 その流れであればコパノキッキングが突き抜けてもおかしくないのだが、なぜか直線でばったり。ジャスティンの上がり3Fは36秒2で、前・後半の差が1秒5というのは、1200mの逃げ馬としてはやはり楽なペースだった。

 まだ若い4歳ということもあり、今年は大井開催となるダート短距離の頂点、JBCスプリントに向けて期待馬がまた1頭現れたことは間違いないだろう。

 オルフェーヴル産駒としては、皐月賞を制したエポカドーロ、先日の大阪杯を制したラッキーライラックがいるが、グレード重賞勝ちは6頭目で、ダートグレード勝ちは初となった。

 2着は4番手を追走していた地元大井のサブノジュニアで、ゴール前は唯一勝ち馬との差を詰めて1馬身1/4差。直線を向いたところで前にコパノキッキング、外にノボバカラがいて、矢野貴之騎手は一瞬行き場に迷う場面があった。まさかそこでコパノキッキングがバテるとは思っていなかったのだろう。それでもノボバカラが失速してくれたことで、コパノキッキングの外に持ち出して伸びてきた。

 2着から2馬身差の3着に入ったキャンドルグラスは、5番手で馬場が軽いラチ沿いを回ってきて、直線だけ外に持ち出した。

 勝ったジャスティンはともかく、2着のサブノジュニアは地方重賞勝ちもなく、キャンドルグラスは今年1月の船橋記念が6歳にしての重賞初勝利だった。しかしながらサブノジュニアには、一昨年の東京スプリントグレイスフルリープに0秒5差の4着があり、キャンドルグラス東京盃で2年連続5着。大井1200mのダートグレードで、それぞれ掲示板内の好走経験はあった。

 昨年後半、この路線では、東京盃JBCスプリントコパノキッキングブルドッグボスが1、2着を分け合い、ヤマニンアンプリメJBCスプリントより速い勝ちタイムでJBCレディスクラシックを勝つなど、それらは能力的に一段階高いレベルにあると思われていた。

 今回、JpnI勝ち馬は2kg増、JpnII勝ち馬は1kg増という別定重量で、さらに別のところに敗因があったにしても、思われているほど能力差はなかったのかもしれない。

 中団を追走したブルドッグボスは、キャンドルグラスにクビ差まで迫ったが4着。中央から小久保厩舎に戻っての初戦で馬体重プラス8kgだったが、同厩舎のオープンクラスの馬たちはそもそも馬体重の変動が大きい。今回の522kgはJBCスプリントを勝ったときより2kg重いだけ。しかしながらフェブラリーSだけピンポイントで中央に移籍して、しかもほとんど経験がない1600mで一線級相手のレースをしたということで、さまざまに環境の変化があった。

 コパノキッキングは無観客でもパドックでテンションが高めだったが、それはいつものこと。これまで3着以内を外したのは1400m以上の2度だけ。9番枠は、逃げ切った勝ち馬に対しては有利ではなかったが、道中で不利などあったわけでもなく、控えても能力を発揮できるのは近走の実績で示されているとおり。怪我などでなければ、今回はこの馬の走りではなかった。

 なお8着だったヤマニンアンプリメは、レース中鼻出血発症という発表があった。

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