「桜花賞・Ｇ１」（１２日、阪神）

　２番人気のデアリングタクトが、ゴール前で力強く差し切り、デビューから無傷の３連勝でクラシック制覇。デイリースポーツでコラム連載中の松山は念願の初Ｖとなった。２着には１番人気の２歳女王レシステンシア、３着には逃げ粘った９番人気のスマイルカナが入った。

　無傷の３連勝で桜の女王へ上り詰めた。デアリングタクトはゲートを五分に出たが、好位で馬群がごちゃつくのを見ると、位置を下げ、折り合いをつけて追走。後方１２番手で直線に向くと、外に持ち出して一気にスパートをかける。先頭とは約８馬身差あったが、雨で重い馬場も苦にせず、グングンと加速。前残りの展開も関係なし。異次元の末脚で、２番手から抜け出しを図ったレシステンシアをゴール前でかわし、最後は１馬身半差をつける完勝だった。

　松山はパートナーを信じていた。「前もかなり離れていましたが、この馬なら届くと」。慌てることなく、直線勝負にかけ、見事に結果を残した。「本当に最後の最後まで必死で、とらえるまで分かりませんでした。信じて外へ出して無我夢中。本当に強い競馬をしてくれました」と声を弾ませた。

　静寂の中のウイニングラン。無観客のスタンドに向かって、ひと差し指を立て、右腕を突き上げた。「一日も早く、皆さまの前で競馬ができるよう願っています」。ファンへ喜びを伝えたかった。

　杉山師も満点のレース内容に笑顔。「自分の競馬に徹してくれた。この馬場なのでいい方に出るか、悪い方に出るか分からなかったが、（デビューから）３回続けて乗っていますからね。馬を信じてくれて、ありがとうと」と鞍上に感謝した。今後については「状態次第、オーナーと相談して」と明言こそ避けたが、「見てくれるファンの皆さんに勇気を与えられる、あすへの活力になるよう。頑張っていきます」と胸を張った。

　鞍上も「折り合いがつけば、距離も大丈夫だと思います」とオークス（５月２４日・東京）を見据えた。桜のヒロインが見せた異次元の強さ。デビュー３戦目での制覇は、２歳戦が実施されようになった４６年以降、８０年ハギノトップレディ以来、４０年ぶり３頭目の最少キャリアＶ。無敗では０４年ダンスインザムード以来１６年ぶり７頭目の快挙。歴史的な名牝の道を歩んで行く。

提供：デイリースポーツ