「
皐月賞・G1」(19日、中山)
最優秀2歳牡馬が意地を見せた-。
サリオスとの無敗G1馬同士のたたき合いを、半馬身差で制したのは1番人気の
コントレイル。デビューから無傷の4連勝で、クラシック第1冠をもぎ取った。管理する
矢作芳人調教師(59)=栗東=は、5回目の挑戦で初の
皐月賞制覇。次は
日本ダービー(5月31日・東京)での2冠獲りに照準を合わせる。
さすがに簡単には勝たせてもらえなかった。「いやあ、心臓に悪かったよ」と言葉を絞り出した矢作師は、誇らしげに引き揚げてきた
コントレイルに「強い馬はどんな条件でも強い。それを見せたかったし、証明できてうれしい。本当に強い内容だったね」と胸を張る。まさに“チーム・
コントレイル”が一丸となってつかんだクラシック1冠目だ。
レース前に福永とは、ある程度前へ行く作戦を練っていた。ところが、スタートしてからどんどんポジションが下がり道中は12番手から。3コーナー手前で動きだし、外へ回って上昇。4コーナーの入り口では先団に取り付いた。このまま突き抜けるか-。しかし内に潜んでいた
サリオスが敢然と馬体を合わせてきた。無敗馬同士の意地と意地がぶつかり合う壮絶なたたき合い。最後は半馬身差でねじ伏せた。
3カ月半ぶりの実戦。この日の馬体重は前走時と同じ462キロ。「正直、10キロぐらい増えてほしかったけど、その分中身が詰まっていた。ただ仕上げ過ぎないよう、そこだけ気をつけてきた」とトレーナー。
ホープフルSを圧勝した直後に、
皐月賞直行が決まった。余裕を持ったローテ。中間は鳥取県の大山ヒルズで十分に乗り込んできた。
1歳冬に球節を痛め、競走馬にとって大事な育成期間に半年もの長い間全く調教することができなかった。「それを思うとすごいこと。大した馬だよ」と目を細める。そして、この日もさらに進化した姿を見せた。「走り方が変わってきた。前輪駆動から四輪駆動へ。トモ(後肢)がしっかりしてきて、折り合いもつくようになった。これなら2400メートルもいける」と言い切る。指揮官にとって12年
ディープブリランテ以来となるダービー制覇へ、大きく視界が開けた。
次は2冠目に挑む。「また眠れない日が続くけど、こんな状況の中で競馬をさせてもらっていることに感謝したい。応援してくれている競馬ファンに、少しでも明るい話題を届けたい」と力を込めた。願いは一つ。次は大観衆が見つめる前で、歓喜の雄たけびを上げることだ。
提供:デイリースポーツ