ステイヤー決戦。一般的にそれは牝馬に向く舞台ではないはずだが…。350キロにも満たない体で、全身を目一杯に使って走る姿を一度、目にしてしまえば、もう応援せずにはいられない。そう、あなたも今日から
メロディーレーンちゃん親衛隊の一員だ。
昨年6月に
JRA最少馬体重記録となる340キロで3歳未勝利戦を勝ち上がった直後から、ネットを中心に「
メロディーレーンちゃん」の人気に火がついた。9月の1勝クラス勝ち時には338キロと自ら記録を更新。この愛らしい小柄な牝馬に騎乗すると、鞍上の頭の位置はどの馬よりも下になり、自身に装着されたゼッケンはぶかぶか…。それでも最後まで諦めずに一生懸命走る、そのけなげな姿が感動を与え続けている。
管理する森田調教師はこの人気を下支えする形で「森田厩舎調教師
メロディーレーンちゃん」をインスタグラムに開設。すでにフォロワー数は3100人を超え、
メロディーレーンをはじめとする管理馬の近況や応援メッセージをやりとりする場としてファンとの交流を大事にしてきた。
もちろん、小さくてかわいいだけでは人気はそうは続かない。優勝劣敗の世界では強さが求められる。
メロディーレーンが「本物の
アイドルホース」として確固たる地位を築けたのは、昨年10月のあの激走があったからこそだ。
収得賞金900万円の牝馬の身で、牡馬クラシック最終戦・
菊花賞へ。この果敢なチャレンジだけでも拍手ものだったのだが…。最後の直線で最速上がりを駆使して猛然と追い込み、0秒4差5着に大善戦。「話題性」だけではない。確かな「実力」も伴っていることを自身の走りで雄弁に証明してみせたのだ。
この
菊花賞の走りがフロックではないことは、前走の
阪神大賞典で再び0秒4差5着に善戦したことでも明らかだろう。
「中間は放牧に出して、350キロで帰厩。追い切りを重ねたことで340キロくらいでの出走になるかな。坂路で時計が出ないのはいつものことで状態はいいよ。この馬の強みはとにかく心臓と肺の強さ。これまでで一番強いメンバーとの対戦だから甘くはないだろうけど、長丁場の高い適性を持っていることだけは確かだから」
森田調教師は相手強化を課題に挙げながらも、
メロディーレーンの無尽蔵のスタミナ、そして無限の可能性にかけている。
昨年の
有馬記念ファン投票は2万118票で21位。残念ながら出走はかなわなかったが、この
天皇賞・春の結果次第では
宝塚記念への出走も視野に入ってくる。
ちなみに
菊花賞当時は藤田菜七子とのコンビ結成プランが持ち上がっていたとか。そう、今後のビッグレースで菜七子とのコンビ結成が現実のものとなる可能性まで秘めているのだ。実現すれば、夢を感じる「女性タッグ」として大きな話題を集めることになろう。
果たして
メロディーレーンちゃんは
菊花賞時を超える走りを見せてくれるのか!?いずれにせよ、今年の
天皇賞・春を大いに盛り上げる存在になることだけは間違いない。
(
メロディーレーンちゃん親衛隊)
東京スポーツ