藤田菜七子(22=美浦・根本)が25日の福島競馬第1レースで、女性騎手初となる
JRA通算100勝を達成。今年2月、小倉競馬場での落馬→左鎖骨骨折のアク
シデントを乗り越え、コ
ロナ禍で無観客開催が続く“静寂の競馬界”にナナコ
スマイルを届けた。これまで通り「次の1勝」を目指す菜七子だが、その先にはGI制覇も見え隠れしている。
メモリアルVは5馬身差のぶっちぎりだった。
シルバージャックに騎乗した菜七子はハナを奪うと道中は後続を確認するほど余裕を持った走り。直線入り口で一気にリードを広げて勝利を確信すると、最後はゴール板を悠々と駆け抜けた。
「早いうちに達成したかったのですが、ケガもして思うように乗れない時もありました。こうして100勝を達成できて周りの方に感謝したいです。
JRAで100勝というのはデビューした時からひとつの大きな目標でした」と菜七子。くしくも初勝利は福島だった。
「福島競馬場でたくさんのファンに囲まれて初勝利した時と違って、今日はファンがいなくて寂しいです。早く元に戻ってほしい。それでも無事に競馬が行われることに感謝したいと思います」
無観客で開催が行われている現状に複雑な思いもにじませた菜七子だが、その懸命なプレーはこれまでもファンを喜ばせ、時には奮い立たせてきた。
順調に勝利を積み上げ、大台到達まであと3勝に迫った今年2月15日、小倉競馬で落馬し、左鎖骨を骨折するアク
シデント。デビュー5年目で初めて大ケガによる戦線離脱を味わったが、翌月の3月14日には早くも調教騎乗を再開。1か月に満たない復帰は関係者やファンを驚かせた。
実は4月上旬、母国への帰国を決断した仏の先輩女性ジョッキー、
ミカエル・ミシェルが菜七子の可能性について本紙にこう話していた。
「ケガのせいで、2月のサウジアラビア(騎手招待競走=STCインターナショナルジョッキーズチャレンジ)で一緒に乗れなかったのは残念だったけど、現地では“日本に素晴らしいフィメールジョッキーがいる”っていうのを皆、知っていたわ。今の私と境遇こそ違うけど、ジョッキーは馬に乗れない時期を乗り越えるともっと強くなれる。彼女はとっくにプロフェッショナルなの」
菜七子にとって100勝到達もただの節目。次なる
ターゲットはGIだ。師匠の根本調教師は「今も昔もGIは騎乗するだけでも簡単ではないし、俺も勝つまでに時間を要した(平地GI勝利はデビュー9年目の
天皇賞・秋=
ギャロップダイナ)。今後も着実に結果を出しながら本当の意味で勝つための駆け引きを身につけてくれたら。それをちゃんと周りは見ているから」と自身の経験と重ねてエールを送った。
その最有力となるのは
コパノキッキングで挑む予定の
JBCスプリント(11月3日=大井ダート1200メートル)だが…。今の勢いなら突然のサプ
ライズ依頼が舞い込んでもおかしくない。
東京スポーツ