伝統の長距離GI、
天皇賞・春(3200m)。連覇を目指して出走の
フィエールマンが過去10年で1度も優勝馬を輩出していない大外枠に入ったことで予想は難しくなった。
3200mも走るのであれば展開も縦長でバラけるだろうし、枠の有利不利は関係ないのではないかとも思ってしまうが、「距離が延びるほどコーナーを回る回数が増えるので、枠順は大切」とあるジョッキーは話す。開幕2週目で内有利ということもあるだろうが、過去10年で1枠が4勝、2着1回、3着1回というデータも見過ごせない。
とはいえ、中心はやはり
フィエールマン。昨年は3カ月半ぶりながら7枠から勝利。実力は1枚上で久々でも走れる態勢は整っているだけに、大外枠でも軽視はできない。
ここ3走、長距離で実績を残す
メイショウテンゲンも7枠に入ってしまったが、同馬は後方からレースを運ぶタイプなので、道中どこかのタイミングでスッとインを取れる可能性もあるだろう。この馬自身は京都コースで(0、2、0、2)だが、
母メイショウベルーガは牡馬相手に
日経新春杯と
京都大賞典を制するなど、京都外回りコースの鬼。ロングスパートが持ち味の
メイショウテンゲンにとっても、3コーナーの下り坂で勢いをつけながら脚を伸ばせるこのコースはもってこいの舞台のはずだ。
前走の
阪神大賞典を制覇して挑む
ユーキャンスマイルは充実してきている印象。
ダイヤモンドSと
新潟記念を勝っていることもあり、左回りのイメージが強かったが、充実してきた今なら前走のように右回りでもしっかりと力を発揮できるだろう。
そして、枠順を見て一気に注目度が上がったのは
モズベッロ。1枠1番を引き、京都(3,1,0,1)とコース巧者。2走前はハンデ戦で52kgと恵まれたとはいえ、外回りコースの
日経新春杯を制覇している。枠やコースを味方につけて上位争いに加わりそうな気がしてならない。
また、
トーセンカンビーナも内目の3枠で、これまで京都外回りコースは2戦2勝。前走の
阪神大賞典は直線で進路を外に切り替えながら上がり3F最速タイで2着。もちろん、同厩舎で
菊花賞馬の
キセキも気になる存在だが、スタートをスムーズに決めるかどうか、不確定要素が強い。「2頭出しは人気薄を狙え」という競馬格言があるが、
ロジャーバローズが制覇した
日本ダービーでそれを改めて実感した記憶も新しく、どちらかといえば
トーセンカンビーナの方が狙い目かもしれない。
伝統の長距離GI・
天皇賞・春は5月3日京都11R、15時40分発走予定。
(文=大恵陽子)