5月4日、高知11Rでは同地出身で「天才ジョッキー」と今なお語り継がれる
JRAの名手の名を冠した重賞・福永洋一記念が行われる。高知ジョッキーたちが「特別で、勝ちたいレース」と憧れる一戦。今年は11頭が揃った。
レースは1600m戦で、2コーナー奥からのスタート。直後にコーナーを迎えるため、内ラチ沿いの砂が深い
高知競馬場ではあるが、このコースに限ってはどちらかといえば内枠が有利だ。後述するが、このコース形態と枠順がレース展開にも影響を及ぼす。
主役は
ウォーターマーズ。以前、コラム「ちょっと馬ニアックな世界」でも取り上げたが、道中はなかなか進んでいかず、鞍上の
西川敏弘騎手はスタートからゴールまで追い通し。しかし、最後までバテない末脚が魅力的で、「今日は届かないんじゃないか」と思うような位置からも必ず上位争いに食い込む馬。
JRAで3勝を挙げたのち、昨夏に移籍してきた高知では、地元馬同士のレースでは全レースで3着以内に入る堅実な馬でもある。重賞3勝の内訳は1600m2勝、1900m1勝で、単純に距離延長がプラスというより、コース形態的にペースが緩むポイントの多い1600mの舞台がベストと言えそうだ。しかも、前走の重賞・
二十四万石賞(1900m)では前目の4番手を取れた上に、いつもより追走が楽に見え、進化を感じる。「この馬がゼーゼー息を切らして目一杯走っている所をまだ見たことがない」と西川騎手。マイルのここは重賞4勝目を決めるだろう。
相手筆頭は
サクラレグナム。昨年末の
兵庫ゴールドトロフィー(JpnIII)では53kgと斤量の恩恵があったとはいえ、一瞬、勝ちを意識する脚で差して3着だった。高知短距離界での実力とスピードはピカイチ。ただ、11歳という年齢と、得意の1400mより1F長いという点だけが不安材料だ。
スペルマロンは前走・御厨人窟(みくろど)賞の勝負所からの手応えがいま一つで9着と、“らしくない”結果。昨年末には2400mの大一番・
高知県知事賞を制覇しているが、「距離の守備範囲が広く、一瞬のスピードのある馬」と管理する
別府真司調教師は話すように1300mの重賞制覇の実績もある。この馬の力を発揮できる状態ならば、上位争いに加わるだろう。
カネトシピュールは前走・御厨人窟賞でスイスイ逃げての押し切り勝ち。「スピード感覚が抜群の馬」と
佐原秀泰騎手も絶賛するが、外目の8番枠に入ってしまった。冒頭で記した通り、スタート直後にコーナーを迎えるこのレース。また、内には
サクラレグナムもいるため、前走のようにすんなり先手を奪えない可能性もある。土曜日時点で
高知競馬場はパサパサの良馬場ということだが、日・月でしっかり雨が降って、スピードの生きる馬場になれば、チャンスが増すだろう。また、前走の
二十四万石賞で
ウォーターマーズの3着だった
アースグロウも重賞で健闘しており、相手候補。
福永洋一記念は5月4日高知11R、20時20分発走予定。
(文=大恵陽子)