4月23日から5月23日までイスラム圏で続く断食月のラマダン。イスラム圏でも新型コ
ロナ感染者が多く今年は様相が違っているそうだが、それよりも先に「プチ断食」をしていたのが
桜花賞2着から
NHKマイルCに挑む
レシステンシアだ。
10月の京都新馬戦は12時15分の発走だったので陣営はカイバを与えずに挑んだが、2戦目の
ファンタジーS以降はメイン競走ばかり。当日は水とほんの少しの牧草しか口にしなくなって「断食状態になる」と松下調教師は明かす。
「京都、阪神でも当日だけで10キロ以上も減らしてしまう。前走時でも中間の計量から16キロ減での出走。競馬が分かってきたことで食べなくなっていますね」
牝馬特有の繊細な面が出ているようだ。それでいて
桜花賞は重馬場ながら1000メートル通過58秒0のハイペースを4角手前から先頭に並びかけるハードな競馬。最後は
デアリングタクトに差されたが、この馬の強さも際立った一戦だった。
その
桜花賞前の話を少々。栗東トレセンに帰厩して1本目の時計(3月27日)が坂路4ハロン51.7-11.7秒と速くなり過ぎたことで調整に誤算が生じていた。1週前(4月2日)は同4ハロン56.0秒と強い負荷をかけられず、当週(4月8日)は同4ハロン49.5秒の猛時計を出さざるを得ない状況に…。それでも大一番では結果を出したことで改めてこの馬の心肺機能、能力の高さを「再認識した」と担当の金浜厩務員が驚いたほどだった。
「あまりいい状態で帰ってこなかったところに、乗り出し1発目があの時計でしょ。さらに当週であれだけの負荷をかけたら下がるかな、と思ったけど、ケロッとしていてまったくダメージがなかったくらい。
桜花賞がタフな競馬になったので疲れを心配したが、それもすぐに回復したくらいだから」
その強靱な肉体、精神力は3歳牝馬離れしている。陣営の信頼が厚いのは当然だろう。
今回は長距離輸送、左回り、牡馬相手など初となる課題は多いが「当日にカイバを食わなくなっているので、今回の放牧帰りから燕麦を少し甘い味がついたものに替えてみた。そしたら前回よりもしっかり食ってくれている。初めての東京が牧場に帰るのかな、と勘違いしてさらに食ってくれるようならなおいいね(笑)」と金浜厩務員。初の長距離輸送に備えての対策は万全だ。
続けて「春に2回使ってもう体はできているので、1週前の時計(4月29日=坂路4ハロン53.2秒)でも速過ぎたくらい。ルメールも『操作しやすい』と褒めてくれた。いい感触を得てくれたようだ」。
昨年の阪神JFで見せた圧倒的なスピード、そして
桜花賞で見せた粘り腰を見れば、牡馬相手の大舞台でも不発はなさそう。環境の変化で絶食など、よほどのことがない限りは先頭でゴールを駆け抜けてくれるはずだ。
(永遠の独身野郎・難波田忠雄)
東京スポーツ