最強牝馬
アーモンドアイが、感動的な強さで「復権」を果たした。
2頭が出走取消となり、16頭によって争われた第15回
ヴィクトリアマイル。
勝負の分かれ目はどこだったかというと、
アーモンドアイがメンバー中1、2番に速いスタートを切った瞬間だろう。それにより、他馬に寄られて大きな不利を受けた昨年の
安田記念の再現となる不安がなくなった。と同時に、前が止まらない高速馬場で圧倒的なアドバンテージを持つことになった。
「パドックからスタートまで、いい感じでした。大人になった。静かでした」
ルメールがそう振り返った落ち着きが、好スタートにつながったのか。
隣の枠から出た
トロワゼトワルが先手を主張する間に、自分のリズムで走りながら他馬を先に行かせ、6、7番手におさまった。
「道中はとても乗りやすかった。
リラックスしていました。(
サウンドキアラの)松山騎手の後ろのいいポジションでした」とルメール。
抜群の手応えのまま行く気に任せて走るうちに、ポジションが少しずつ上がって、4番手の外目で3、4コーナーを回った。
直線に入っても、ルメールは手綱を持ったままだった。ラスト300mあたりで、同じようにいい手応えで追い出しを待つ
サウンドキアラの外に並びかけた。ルメールが、手首の動きを強める程度に仕掛けただけで瞬時に反応し、ラスト200mを切ると独走態勢に入った。
最後までノーステッキのまま、2着
サウンドキアラに4馬身差をつけ、悠々ゴールを駆け抜けた。
「ずっとマイペースで走ることができました。最後はパワフルなス
トライドを使った。これからは負けないです。レジェンドホースです」
ルメールは笑顔でそう話した。
これが
アーモンドアイにとって、
キタサンブラック、
ディープインパクトら歴代の名馬に並ぶ、芝GI7勝目となった。
勝つときはすべて圧巻。強い
アーモンドアイが帰ってきた。
(文:島田明宏)