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【宝塚記念予想】 サマーグランプリは脚が遅いほうが有利!? 競馬の真理と矛盾するその言葉の“真意”とは?/JRAレース展望

  • 2020年06月27日(土) 17時03分
 宝塚記念は脚の遅い馬が有利。競馬は脚の速さを競う競技であり、こういってしまうと奇異に感じるかもしれませんが、そういったレースは確かに存在します。その代表格が(過去10年)『1-3着馬の上がり3ハロンタイム平均』が35秒0の有馬記念であり、そしてそれ以上に遅いのが35秒5の宝塚記念なのであります。

 上がりのタイムが遅い=宝塚記念のレベルが低いという意味ではなく、そういった質のレースもあるのだと認識してください。天皇賞(秋)ジャパンCのように、上がり3ハロンを33秒台で勝つような馬ではなく、34秒、35秒になるような厳しい流れで好走するような馬に有利なレース。すなわち、宝塚記念は『脚の遅い馬が有利』なレースという論法です。

 競馬がタイムトライアル競技でない以上、『脚が遅い』というのは必ずしも欠点でありません。確かに上級クラスで走る馬は大抵速い脚を持つものではあるのですが、それがすべてだというのなら、生涯1〜3着好走時の上がり平均が35秒3であったゴールドシップの強さはどう説明できるのでしょうか。

 一般論として『脚が遅い馬』は上がりの速いレースには対応できませんし、『脚の速い馬』は上がりのかかるタフな流れに音を上げてしまいます。だからこそ、二極化した現在の競馬において適性考察が重要になってくるのです。

 ちなみに、天皇賞(秋)ジャパンCの『1〜3着馬の上がり3ハロンタイム平均』は34秒ソコソコ。これらのレースと宝塚記念は同じGIでも対極に位置すると考えられ、ゴールドシップ宝塚記念を得意とし、東京GIを苦手としていた解はここに求めるべきだと考えています。

 では、どういった馬が上がりのかかるタフな流れに強いのでしょうか。そこでひとつの基準として考案したのが、出走予定の各馬『1着〜3着時の上がり3ハロン平均』タイムというものです。タイムごとに出走馬を1頭ずつ分類すると、次のようになります。

 34秒0(ラッキーライラック)、34秒1(ペルシアンナイト)、34秒2(クロノジェネシスワグネリアン)、34秒3(トーセンカンビーナ)、34秒4(アフリカンゴールドアドマイヤアルバカデナサートゥルナーリアブラストワンピース)、34秒6(キセキ)、34秒7(グローリーヴェイズ)、34秒8(トーセンスーリヤ)、35秒0(ダンビュライトモズベッロ)、35秒3(スティッフェリオレッドジェニアル)、35秒7(メイショウテンゲン)
※不良馬場などによる異常値を緩和するため、最速値と最遅値を除いての平均(トリム平均)

 この数値が遅ければ遅いほど良いという話でもありませんが、こうして数値を出すと、どうしても気になってしまうのは平均34秒0で好走しているラッキーライラックの存在です。

 過去には、上がり32秒8という驚速でエリザベス女王杯を差し切った馬。一時の不調期はともかく、好調期も上がり34秒を切るレースで勝利し、34秒以上を要すレースで惜敗という傾向がハッキリと現れています。

 速すぎる馬、34秒0のラッキーライラックを筆頭に、今年も速い脚を使える馬が上位人気を占めることになりそうな宝塚記念ウマい馬券では、ここからさらに踏み込んで宝塚記念を解析していきます。印ではなく『着眼点の提案』と『面倒な集計の代行』を職責と掲げる、岡村信将の最終結論にぜひご注目ください。
(文=岡村信将)

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