2020年秋から2024年にかけて行われる京都競馬場の大規模な工事にともない、今年の
CBC賞は中京競馬場ではなく、阪神競馬場で施行されます。毎年9月上旬に行われている
セントウルS(GII)と同じコースということになるのですが、
セントウルSは毎年レコードが更新される時期の高速馬場。そちらは別定戦、こちらはハンデ戦ということもあって、参考にはしづらいものと考えられます。
今年の
CBC賞は例年とのコースの違いが取り沙汰されることになりそうですが、ラップ傾向で見ると中京芝1200mと阪神芝1200mにそこまで大きな差異はありません。そこで着目すべきは施行コースの違いではなく、
CBC賞がハンデ戦であるという事実でしょう。
現在のところ、
JRAの1200mハンデ重賞は
シルクロードS(GIII)、
CBC賞(GIII)と
北九州記念(GIII)の3レース。ラップ傾向がまるで違う小倉競馬場の
北九州記念には当てはまらないのですが、今回着目する事象は
CBC賞だけではなく、
シルクロードSにも顕著に出ている傾向なので覚えておいても損はないと思います。
JRAのハンデ戦はハンディキャッパーがイチから考えているわけではなく、“馬齢重量”という基礎になる負担重量からの増減で決められています。基本的には5歳以上の牡馬・セン馬が平地で57キロ、4歳以下の馬は月ごとに細かく減量が設定されていて、いずれの年齢でも牝馬は一律に2キロ減。土日で月を跨げば前の月の斤量が適用されるなど細かいルールもあるのですが、ともかく7月5日に施行される今年の
CBC賞は3歳54キロ、4歳以上57キロ(牝馬は2キロ減)の馬齢重量が基準となります。
何やら小難しい話になってしまいましたが、そこで着目したいのは
シルクロードSも
CBC賞も、この基準となる斤量よりも重いハンデを付けられた馬の活躍が目立つということです。今回
シルクロードSの数字は省きますが、
CBC賞での成績は基準以上だった場合、23戦[5-3-4-11]で勝率22%、単回収108%であるのに対し、同等以外では189戦して[8-10-9-162]で勝率4%、単回収54%となっています。(※
CBC賞がハンデ戦となった2006年以降。阪神競馬場で施行された2011年
CBC賞も含む)
自重450キロを超えるサラブレッドにとって1キロ、2キロの斤量なんてあまり関係ないのではないかという意見もあります。パドックでボロでも出せば1キロ以上変わることもあるのだし、競馬を始めた当初、そのように考えていた時期が私にもありました。
しかし、自重と斤量(自分の身体と外的重量)は根本的に違うのです。例えば徒競走、“10円玉を40枚入れた袋”を持って走るとしますね。10円玉は40枚で180グラム。体重70キロの人間にとっての180グラム、これが450キロの馬に対する1キロの斤量と似たような比率になります。しかも両手のコブシに握りこむのではなく、コンビニ袋なんかを手からぶら下げて走るとすると、かなり走りづらいイメージができあがると思います。
40枚を左右均等に分け、可能な限り袋を短く持つのが上手い騎手。袋を長く持ち、身体に当てながら走るのが下手な騎手だと考えているのは蛇足としておきましょうか。
出走予定馬の確定ハンデ一覧と照らし合わせてみると、基準55キロに対して55.5キロのハンデを付けられた
アウィルアウェイと、57キロに対して58
キロクリノ
ガウディーの2頭が該当しています。13戦1勝の
クリノガウディーがトップハンデ58キロに設定されたことが話題になっていますが、まずはこの馬の取捨が最大のカギになるのでしょう。
ウマい馬券では、ここからさらに踏み込んで
CBC賞を解析していきます。印ではなく『着眼点の提案』と『面倒な集計の代行』を職責と掲げる、岡村信将の最終結論に ぜひご注目ください。
(文=岡村信将)