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ロナ禍による取材制限もあり、週末はテレワークが基本だった記者が、先週末は取材班として久々にトレセンに一人居残り。「
宝塚記念は豪快に予想を外してましたね。あそこまで強気に言って“大丈夫かな”と思いながら、グリーンチャンネルを見てたんですよ(笑)」なんて声も、どこかうれしい。前走までのレースを吟味して、調教をチェック。さらにはパドックの気配を観察すれば、予想行為はできてしまうもので、実際にこの数か月はそうしてきたのだが、トレセン記者の楽しみは気の置けない関係者との雑談にこそある…と個人的には思っている。以前の状況に戻ることはないのかもしれないが、やはり“記者は現場にいてこそ”を実感した。
本来ならレース翌週に言ってきた「おめでとうございます」のひと言も、このタイミングで言わねばなるまい。先の
帝王賞で見事に勝利を飾った
クリソベリルの浜田助手にごあいさつ。しかし、日本で敵なしのこの馬が2番人気での出走だった理由は今も謎だ。
「絶好調ではなかったけど、普通に走れる状態には仕上がっていたし、大井も結果を出しているコース。早い段階で
オメガパフュームにプレッシャーをかけられながらも、それを振り切ったレース内容も“力の違い”を感じるものだったよね。どうして1番人気にならなかったのかな」
浜田助手の感覚も記者と同様だったようだ。ダート界には
カフェファラオという強烈な新星が出てきたため、下半期のGIでも1番人気にならないかもしれないが、そのときは「なんてオイシイ馬券だろうか!」とルンルン気分で頭固定の馬券を買おうと早くも決意している。
一方、昨年の
南部杯を制し、GI馬の仲間入りを果たしていた
サンライズノヴァが
帝王賞に出走できなかったのも個人的には“謎”に感じてしまったが、実際は謎でもなんでもなく、単純に出走馬決定賞金順で
ミツバよりも下だったことがその理由。ゆえに担当の棚江助手の反応も実にあっさりしたもので、スライドでの出走となるGIII
プロキオンS(日曜=12日、阪神ダート1400メートル)に頭は切り替わっている様子だ。
昨年の4着はトモの状態が芳しくない“スランプ期”での敗戦。それを脱したのが前出の
南部杯だった。その好状態は今も継続中。しかも、今回は
帝王賞を目標にしていたため、結果的にこれまで以上に入念な乗り込みを消化している。
「大きいところに出るための賞金がなかった馬。なので以前はオープン特別に出走することが多かったですし、そこで一生懸命に走り過ぎていたのかなと感じる部分もあります。夏場に走ることの少なかった馬でもあるけど、この時期のほうが汗もかくし、むしろ合っているかもしれませんよ」(棚江助手)
他馬よりも重い59キロの斤量、初の阪神1400メートルとクリアすべきハードルはあるにはあるが、その背景を考えればチャンスは十分だろう。
ちなみに記者は
JRAのダートGIが2つしかなく、それが厳寒期に偏っていることを疑問に思っている。ダート馬は500キロ超の大型馬が多い。絞りやすい時期に開催したほうが調整はしやすく、故障も少ないと思うのだが…。いかがなものだろうか。
(栗東の本紙野郎・松浪大樹)
東京スポーツ