私は気象予報士という職業を生かし、季節馬激走予想を行っています。まずレース当日の気温を12度未満の「寒」、12度以上18度未満の「涼」、18度以上25度未満の「暖」、25度以上30度未満の「暑」、30度以上を「酷暑」とした5段階に区分けし、配当妙味のある季節馬を特定。
さらに
JRAの馬場発表をもとに馬場状態を解析、分類します。それらの独自情報を活用し、それぞれの気候・馬場に合った穴馬を抽出。ここでは、過去10年の気候成績から激走馬の傾向を分析。当日気候レベルを想定し、激走が期待できる馬を抽出しました。
【暑さへの対応力の有無がポイント】
10年の
アルコセニョーラ、14年の
メイショウナルト、18年
メドウラークなど、夏馬の台頭が目立つ
七夕賞。過去10年で3連単10万超の配当は6度あり、15年は1,006,440円、18年は2,563,330円の高配当。波乱の主役は、夏馬となる可能性が大です。ここでは過去10年の馬場、気候成績を中心に激走馬を抽出していきます。
過去10年の気候は「暑」が4回、「暖」が3回、「酷暑」が3回となっています。過去10年の人気別成績では、1番人気は2勝を含む3連対、複勝率は50%。直近5年では[1-0-0-4]と信頼度は低めな一方で、7番人気以下が4勝も挙げています。
激走馬は10年で15頭おり、そのうち9頭が10番人気以下となっています。過去10年で激走馬が現れなかった年はなく、今年も穴をあける馬の見極めが重要となります。
七夕賞の注目ポイントは3点。まずは、5番人気以下で馬券内に入った18頭中11頭が「『暑』-『酷暑』で2勝以上を挙げている」点です。11年に7番人気で勝った
イタリアンレッドは「暑」-「酷暑」で[4-0-0-2]、翌年14番人気で勝利した
アスカクリチャンは[2-0-3-0]という成績を残していました。
ほかにも、14年に10番人気ながら2着に食い込んだ
ニューダイナスティは[2-0-0-4]、一昨年11番人気で制した
メドウラークも[3-0-0-4]と、ほぼ例外なく「暑」-「酷暑」で2勝以上を挙げています。一方で、1-4番人気で馬券内に入った12頭のうち、「暑」-「酷暑」で2勝以上を挙げたのは1頭のみというデータもあります。
2つ目のポイントは、前述した1つ目のポイントのうち11頭中10頭が、「『暑』-『酷暑』の準OP以上で1勝以上、または激走の実績があった」という点です。
先ほどの例でいえば、11年の勝ち馬
イタリアンレッドは前年の
ムーンライトHCで勝利(2番人気)していましたし、14年に2着だった
ニューダイナスティは前年の
関ケ原Sを勝っていました(3番人気)。また、一昨年の覇者
メドウラークも15年の
ジューンSを制していました(2番人気)。
3つ目のポイントは“雨”です。今年は雨の影響により、馬場悪化(稍重程度)の可能性があります。過去、稍重でのレースは12年と19年が該当し、その2年の激走馬3頭中2頭が、準OPの稍重で1勝を挙げている事実は見逃せません。
12年に7番人気で3着だった
ミキノバンジョーは11年の
清水Sを6番人気で勝利した実績がありましたし、昨年12人気で3着した
ロードヴァンドールは、17年の寿Sを2番人気で勝っていました。
以上をふまえて、私が注目しているのは5頭です。まず
ヒンドゥタイムズですが、暑[2-1-1-0]と優秀で、昨年は「暑」で3、1、2着と連続好走して、暑さへの適性は証明済みです。
エアウィンザーも暑[3-1-1-1]と優秀で、こちらは「暑」だった一昨年の
むらさき賞、
西宮Sを連勝しています。
同じく「暑」となった一昨年の
宝塚記念で、12番人気ながら3着と激走したのが
ノーブルマーズ。稍重-重では3着6回、4着と5着がそれぞれ1回ずつと、これまで掲示板を外していません。
リュヌルージュは前走、稍重の
マーメイドSで勝ち馬と0.3秒差の3着でした。不良となった
中山牝馬Sでも14番人気で2着と、馬場悪化時の好走に注目したいところです。
最後に
パッシングスルー。昨年の
紫苑Sは「酷暑」でしたが、見事に勝利。夏の稍重で勝った実績もあり、馬場適性もありそうです。
(文=三宅誠)