盛岡競馬場は前日の開催で芝のレースがダート変更になるほどの大雨。不良馬場となったダートはかなり速いタイムが出ていた。ダートの高速馬場なら
マテラスカイには俄然有利と思われ迎えた当日。重で第1レースが始まり、第6レースで稍重、そして第10レースに設定された
クラスターCの前には良馬場まで回復。果たして、良とはいえ馬場は締まった状態で、勝った
マテラスカイの勝ちタイムは1分8秒5。3年前のこのレースで
ブルドッグボスが記録したコースレコードをコンマ3秒更新。さらには2008年中山・カペラSでの
ビクトリーテツニーのレコードをもコンマ2秒短縮する、ダート1200mの日本レコードでの快走・快勝となった。
とはいえ
マテラスカイはスピードに任せて逃げ切ったわけではない。外目の9番枠ゆえ、鞍上の
武豊騎手は、逃げと決めていたわけではなかった。好スタート切った
マテラスカイだったが武騎手はまわりの出方をうかがっていた。
一方で最内枠に入った
ヒロシゲゴールドの藤岡康太騎手は包まれたくなかったのだろう。積極的にハナを取りに行き、
マテラスカイが引いたので、その位置関係ですんなり収まった。2番枠の
アユツリオヤジも積極的に追いかけたが、これは3コーナー過ぎで徐々に後退。
中間600mの通過は33秒7。通常の馬場状態ならハイペースだが、この日の高速馬場では、それほど厳しいペースではない。
マテラスカイが控えたことでオーバーペースにはならず、レースの後半も34秒8(
マテラスカイ自身は34秒6)と、そのスピードはほとんど緩むことはなく、前の2頭での決着。坂を上がって残り100mあたりではまだ
ヒロシゲゴールドが出ていたが、最後の50mほどで
マテラスカイがねじ伏せるようにとらえ、半馬身差をつけてのゴールとなった。
マテラスカイは、これが2018年7月の
プロキオンS以来、じつに2年1カ月ぶりの勝利。その
プロキオンSは不良馬場で、勝ちタイムの1分20秒3はダート1400mの日本レコード。
マテラスカイはダートの短距離で2つ目の日本レコードを記録することとなった。
前走門別の
北海道スプリントCは埃が上がるほどのタフな馬場。前半34秒8で、後半が38秒0。
マテラスカイは
メイショウアイアンにハナ差の2着(
スズカコーズラインと同着)ではあったが、そのような馬場は向いていない。今回あらためて時計の出るダートでこそという、圧倒的なスピードを見せた。
惜しくも2着だった
ヒロシゲゴールドは、前走
京葉Sで前半32秒9というハイペースで飛ばし、それでも直線で後続を離して逃げ切っていた。その経験が、今回の高速馬場で生かされた。
マテラスカイより1kg軽い54kgだったことを考えると、着差以上に力差はあるが、それでも昨年来の充実ぶりをあらためて見せた。
2馬身半差で3着に入ったのが、JpnI勝ち(昨年の
JBCスプリント)により別定59kgを背負わされた浦和の
ブルドッグボス。さすがにそれほど背負ってしまうと、スタートは「よいしょ」という感じでダッシュがつかず、それでも中団追走は、ペースを考えれば定位置。3、4コーナー中間から徐々にギアを上げていって、上り3Fはメンバー中最速の、なんと34秒0。ちなみに
ブルドッグボスは、3年前のこのレースでレコード(1分8秒8)勝ちしたときの上りも34秒1。ただしそのときは54kgで、今回59kgでということではあらためて驚かされる。8歳でも衰えはなく、定量で走れる
JBCスプリント(今年は大井1200m)ではあらためて期待となりそうだ。
2番人気に支持された
トップウイナーは、3着の
ブルドッグボスからさらに2馬身半差があっての4着。
マテラスカイの直後を追走したが、4コーナー手前では追走に一杯になっていた。ダートの1200〜1800mで勝ち星があるというオール
マイティなタイプだが、さすがに日本レコードになるような流れには対応できなかった。
10歳の
メイショウアイアンは5着(勝ち馬と1秒4差)。一昨年のこのレースが6着(同1秒6差)で、昨年が7着(同0秒9差)だったが、今回は着順を上げてきた。坂のあるコースより平坦な門別コースのほうが合うことは確かだが、それでも年齢を考えれば誇れる成績だ。