「
札幌記念・G2」(23日、札幌)
名手が魅せた-。初の無観客開催となった北都のG2を制したのは、横山典騎乗の2番人気
ノームコア。昨年のヴィクトリアMをレコード勝ちした実力馬が中団から力強く抜け出し、昨年10月の
富士S以来となる4つ目の重賞タイトルを手にした。2着に後方から追い込んだ6番人気の
ペルシアンナイトが入り、1番人気の
ラッキーライラックは3着。G1馬3頭が上位を占める結果となった。
会心の騎乗だったのだろう。見事な手綱さばきで
ノームコアをVへと導いた横山典は、フィニッシュと同時に左手を高らかと挙げて
ガッツポーズ。引き揚げてきた検量室前でも右手を突き上げて満面の笑み。「いつもより馬が落ち着いていた。やれると思って自信を持って乗りました。いい競馬を見せられたと思います」。自画自賛の完璧な騎乗だった。
最内枠から発進し、道中は中団のインを追走。「スタートが遅い時と、折り合いが難しい時がある。そこだけを注意して乗りました」。4戦連続のコンビで馬の癖はつかんでいる。ベテランは勝負どころも逃さない。直線で手応えが怪しい
ラッキーライラックをパスすると、返す刀で外から迫る
ペルシアンナイトの猛追も完封。
「4角手前まですごく上手に来られた。いつも最後はいい脚を使ってくれる馬。それに加えて、きょうは具合も良かった」。人馬ともにノーミスでV。厩舎スタッフの完璧な仕上げをたたえることも忘れなかった。
今夏の北海道シリーズは、
横山和生&武史兄弟が大活躍。息子たちに負けてはいられない。ここ一番で父親の威厳を示した。
ノームコアも妹に負けてはいられない。半妹の
クロノジェネシスが
宝塚記念で
大阪杯2着のリベンジを果たしたように、妹の宿敵
ラッキーライラックを北都で撃破。「強い競馬だった」と萩原師を喜ばせた。
今後について、指揮官は「オーナーと相談して決めたい」と明言を避けたが、芝2000メートルのG2を勝利したことで選択肢が広がった。「牝馬ですけど、いつも頑張ってくれる。この秋も頑張ってほしい」と横山典。白さが増した5歳牝馬が、夏の北都でさらに輝きを増した。秋の飛躍が非常に楽しみだ。
提供:デイリースポーツ