今週末から中山、中京を舞台にした秋競馬がスタート。いよいよ来春のクラシックを見据えた2歳馬たちの本格的な始動時期を迎える? いやいや、早期デビューが主流になりつつある近年の流れを重視すると、すでに後発グループに入るのかもしれない。ひと昔前は「秋デビューこそが大物候補の証明」的なムードがあったが、今現在は出走馬のレベルをより吟味する必要に迫られる。
中山で予定される新馬戦4鞍のうち、最注目は土曜(12日)芝内2000メートル。そこで鞍上にルメールを確保したのが
ブラウシュヴァルツ(牡=
父ブラックタイド、
母マンドゥラ・黒岩)だ。秋競馬の開幕日にルメールを騎乗させることが該当馬のレベル、そして期待の高さを雄弁に物語る。実際、先月は2日札幌の
バニシングポイントから22日札幌の
アスカロンまで新馬戦騎乗機会6連勝を達成。今年の2歳世代もルメール抜きには語れないのが実情だ。
もちろん、ルメール騎乗以外にも推し材料は豊富にある。まずは血統。ドイツ産の
母マンドゥラは未出走馬ながら、その半兄には本格化した5歳時に仏独でGI3勝を含む重賞5連勝を達成したマンデュロがいる良血。その5連勝の中身が1600メートルの
ジャックルマロワ賞や2400メートルのフォワ賞など多彩な距離となると、母系の距離の守備範囲は相当、広いと考えられる。
調教過程も順風満帆だ。6月にゲート試験をパスした後は短期放牧を挟み、坂路、ウッド併用で入念な乗り込みを消化。迫力に満ちた馬体から繰り出されるフットワークは追い切りを重ねるごとに鋭さを増している。
「大柄でまだ緩さは残る現状ですが、ひと追いごとにしっかりと動けるようになってきましたね。長くいい脚を使えそうなところがこの馬の良さ。操縦性も高いですし、距離はあったほうがいいかな」と黒岩調教師。
黒岩厩舎といえば昨秋、
フローズンスタイル(東京)、
シーズンズギフト(福島)が芝2000メートルの新馬勝ちを決めた。2頭はともに牝馬だが、今年は牡馬の大物出現なるかに期待が高まる。
果たして絶対的な鞍上を確保して臨むデビュー戦で、
ブラウシュヴァルツはどれだけのパフォーマンスを見せることができるのか? 個人的にはその勝ちっぷりが問われる一戦になると思っている。
(立川敬太)
東京スポーツ