3歳牝馬3冠最終章の
秋華賞は例年、2勝クラスを勝っていれば、ほぼ抽選なしで出走が可能だったのだが…。今年はボーダーが上がって「収得賞金1500万円では出走が微妙なのでは?」という“怪情報”が先々週あたりから関係者の間で広まった。
察しのいい方はもうお分かりだろう。2勝クラス(
西海賞)を勝ち上がった後、本番まで余裕を持ったローテーションで挑むはずが急きょ、8日に帰厩してきたのが現在収得賞金1500万円の
フィオリキアリだ。
西海賞は番手からの抜け出しで完勝。春までは折り合いを気遣うあまり後方からの立ち回りが多かった馬だが、プラス20キロと馬体充実、そして正攻法の競馬で押し切った内容は春からの大いなる成長を感じさせた。本来は
秋華賞へ向けて、再度の放牧でさらなる成長を促す予定だったが、途中で切り上げる格好に。これは大いなる誤算と思いきや、関係者の感触は決して悪くはない。
「小倉競馬場から直接、大山ヒルズ(鳥取県)へ放牧に出したので、余計な輸送が省けたのが良かったんじゃないかな。前走から少し馬体は減るかもしれないけど、帰厩後は坂路で2本時計を出せて、調整は順調そのものだからね」
担当の山口厩務員は本来の小倉→栗東→大山ヒルズ→栗東という形ではなく、小倉→大山ヒルズ→栗東としたことで輸送のリスクを最小限にとどめられたと解説。だからこそ、始動の繰り上げにもうまく対応できたのだという。
「
桜花賞(7着)では馬場が悪くて道中は進んで行かなかったけど、それでもラストの脚はすごかった。逆に
オークス(14着)は気分良く行き過ぎた感じだったけどね。前走で距離(2000メートル)をこなせたのは収穫。良馬場でやれれば、ここでもいい競馬をしてくれるはず」と山口厩務員は自信を見せている。
ちなみに某大物エージェントに確認を取ると、
ローズS(日曜=20日、中京芝2000メートル=3着までに
秋華賞優先出走権)で収得賞金900万円までの馬が優先出走権を獲得した場合、その頭数分だけ収得賞金1500万円の馬が抽選対象になる想定(らしい)。
フィオリキアリは仮にここで権利を取れなくても、最低でも抽選にはかかるようだし、別の有力筋からは「3勝クラス在籍馬はほぼ出走可能」との声も聞こえてくるのが実際のところだが…。
今年の
ローズSは珍しく
桜花賞&
オークスの上位3頭が不在の一戦。怪情報が流れたことが、
フィオリキアリにとって最高の結果をもたらすのではないかとひそかに思っている。
(栗東の遠吠え野郎・難波田忠雄)
東京スポーツ