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【オーバルスプリント回顧】58kgでもサクセスエナジー完勝(斎藤修)

  • 2020年09月23日(水) 18時00分
 ノブワイルドは今回も内目の3番枠に入り、ほかに何がなんでもという逃げ馬もいないことから楽に先手がとれるかと思ったが、そうはならなかった。ゲートを出たのはいつものように速かったが、二の脚が速かったのはベストマッチョ。内のノブワイルドは引くわけにはいかないので、鞍上がムチを入れ気合をつけた。

 一方のベストマッチョは、そのノブワイルドを見て反応してしまったのかどうか、最初のゴール板を過ぎたあたりで行きたがるような素振りを見せ、鞍上の森泰斗騎手が抑えようとする場面があった。

 勢いがついてしまったノブワイルドは、2コーナーを回るあたりで、ベストマッチョを2馬身ほども離して単騎の逃げ。最初の3Fのラップが、11.7-11.0-11.9で、34秒6。これはいかにも速い。ノブワイルドは3コーナーで息切れ。思わぬハイペースに加え、ゲート入り直前に馬体検査に至る出来事で精神的な影響もあったのかどうか。

 それにしてもサクセスエナジーは、他馬より3kg以上重い58kgを課せられながら、そのハイペースでも難なく3番手を追走した行きっぷりがすばらしかった。3コーナー過ぎでは軽く促しただけでベストマッチョをとらえ、直線で引き離すと、さすがに前半が速かっただけに最後の2Fは13.4-14.3 とかかったが、それについてこられる馬もいなかった。

 サクセスエナジーは7月のプロキオンSでは行きっぷりが悪く10着に敗れていたが、そこから2カ月の間隔をとって立て直したのだろう。目標とされるJBCスプリントに向けて期待の高まる勝利となった。

 ベストマッチョもゴール前ではさすがに脚が上がって2馬身差の2着。前走プラチナCは2番手から早め先頭で完勝だったが、あらためてレースを見返して見ると、やはりスタート後の直線では内の逃げ馬をムキになって追いかけるような場面があった。ただそのとき逃げたエッシャーと、今回のノブワイルドではスピードの絶対値が違う。厳しいペースをつくったのは逃げたノブワイルド自身ではなく、行きたがってしまったベストマッチョに厳しいペースをつくらされてしまった。

 ベストマッチョは、中央時代は2018年1月にオープンのジャニュアリーSを制したが、その後の成績は頭打ち。しかし今回も含め、南関東に移籍してからの3戦のレースぶりは明らかによくなっている。コーナーを4つ回る地方の小回り1400メートルという舞台が合っているのかもしれない。

 ノブワイルドは3コーナー過ぎで2頭から一旦は置かれてしまったが、直線では盛り返す底力を見せた。ベストマッチョにもう一度迫ってのゴールは、惜しくもハナ差で3着。完全にバテたわけではなかったところを見ると、やはり精神的な何かがあったのかもしれない。

 5頭が単勝3〜4倍台で人気を分け合う形となって、実際にその5頭が掲示板を占めたのだが、4着サヴィ、5着トップウイナーは見せ場をつくれなかった。

 サマーチャンピオンでは抜群のダッシュから逃げ切っていたサヴィだが、包まれると気性的に難しいところがあるようで、最初の直線でベストマッチョに先を越され、文字通りその後塵を拝する形になって行く気をなくしてしまったのかもしれない。1、2コーナーを回るあたりでどんどん位置取りを下げてしまった。

 トップウイナーは道中、サクセスエナジーから差があっての4番手で、向正面に入ったあたりから追い通しだった。7月のプロキオンSでは快速馬ラプタスの2番手を難なく追走していたが、続く前走盛岡のクラスターCでもスタートからほとんど追い通しだった。状態の問題だったのか、もしくは地方の馬場やコースが合わないという可能性はある。

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