圧倒的1番人気に支持された
福永祐一の
コントレイルは2番枠から速いスタートを切った。そのままゲートを出たなりで進み、周囲の馬たちを行かせて、中団馬群のなかで折り合いをつけた。福永はこう振り返る。
「戦前からちょっと難しいレースになると思っていました。内枠が当たったということで、進路を上手く見つけて、ストレスなく走らせることが今日の課題だったのですが、やはり難しいレースになりました」
先頭との差は6馬身ほど。馬1頭分ほど内をあけて1、2コーナーを回り、向正面に入って行く。さらにもう1頭分ほど外に出したが、外側を他馬に塞がれ、それ以上外に出ることのないまま3コーナーに進入して行く。
「本当はもっと早くに進路を確保したいところではあったのですが、内枠ということもあって、流れのなかで進路を探しながらでしたけど、慌てないということだけは肝に銘じて乗っていました」と福永。
4コーナーを回り、直線に入ってもまだ
コントレイルは馬群のなかにいた。それでも福永は落ちついていた。
「手応えもありましたし、瞬時に反応できる馬ですから、慌てず直線に向くことができたと思います」
ラスト400mを切ったところで、前の
グランデマーレと
ディープボンドとの間に僅かな隙間ができた。ちょうど
グランデマーレが失速しはじめていたときだったこともあり、
コントレイルは持ったままで2頭の間を割り、先頭に躍り出た。
そこからは独壇場だった。ラスト200mを切るとさらに末脚を伸ばし、最後は流すようにして2着を2馬身突き放した。
「休み明けとはいえ、落とすわけにはいかない状況のなかで、余力を持って勝つことができたのが何よりでした。強い
コントレイルをお見せすることができてよかったです」
そう話した福永の冷静な騎乗により、戦績を6戦6勝とした。史上3頭目の無敗の三冠馬の誕生が、ますます現実味を帯びてきた。
(文:島田明宏)