【海外競馬通信=文:合田直弘】
前売り1番人気のラブ(牝3)を筆頭に、
凱旋門賞に複数の手駒を送り込む愛国の伯楽エイダン・オブライエン調教師が、その1頭である
ジャパン(牡4)の鞍上に
武豊騎手を指名した。
G1英
オークス2着馬
シークレットジェスチャーの全弟で、タタソールズ10月1歳市場にて130万ギニー、当時のレートで2億1千万円という高値で購買されたのが
ジャパンだ。
極めて高かったであろう周囲の期待に応えて、2歳秋にはG2ベレスフォードSを制し重賞初制覇。そして3歳時には、パリ大賞、インターナショナルSという2つのG1を制した他、
凱旋門賞4着などの実績を残し、欧州10F〜12F路線におけるトップホースの1頭となった。
松島正昭氏が代表をつとめるキー
ファーズが、
ジャパンの権利の半ばを買収して共同馬主となった今季、残念ながら同馬の成績はここまであまり芳しくない。4戦して勝星がなく、直近のG1
愛チャンピオンSでも勝ち馬
マジカルから6.1/2馬身遅れの5着に敗れた。
しかし、本来の力を出せば
凱旋門賞でも争覇圏に入る馬であることは間違いなく、スランプにある同馬をユタカマジックで覚醒させることが、武騎手に託された使命となる。
これで3年連続9回目の
凱旋門賞参戦となる武騎手だが、01年には単勝40倍で10番人気のサガシティを3着に持ってきた実績がある。そして
ジャパンは、そのサガシティの甥にあたるという縁もあるのだ。
昨年の
凱旋門賞当日には5つのG1に騎乗していたように、欧州最高の檜舞台に立つことが「当たり前」になっている武騎手が、
凱旋門賞制覇という究極の勲章を手にする場面を、競馬ファンであるならば見逃すわけにはいかないはずである。