GIII
サウジアラビアRC(10日=東京芝1600メートル)は今年で6回目で、まだ歴史は浅いが、2017年以降の勝ち馬は
ダノンプレミアム、
グランアレグリア、
サリオスと後にGIタイトルを奪取した面々が名を連ねる。先々を占う「出世レース」としての地位をすでに確立したと言っていいのでは。
とりわけ藤沢和厩舎は例年、2歳馬が大攻勢をかける開催なのもあって、前述通り一昨年に
グランアレグリアが制覇しただけではなく、昨年は
アブソルティスモが3着。今年の
キングストンボーイに対する期待も当然、大きなものがあろう。
先輩2頭が6月の東京開幕週デビューだったのに対して、
キングストンボーイは少々時期を遅くした8月の札幌でデビュー戦(芝1800メートル)を迎えた。春に美浦入りを済ませながらも、そのままデビューへと向かうことはなく、例年とは違う出走態勢を敷いたのだ。
調整期間を十分に取ったことで
キングストンボーイはルメールを背に初戦を制したものの、その内容は褒められたものではなかった。道中の折り合いが不安定だっただけではなく、直線でも右に左にヨレつつ何とか叩き合いをクビ差で制した形。まさに“幼さ満点”のレースぶりだった。
「まだ馬がガキだよな。ただ秘めているものはすごい。キャンターからしていいもんな。クラシックを意識できる馬。ルメールが絶賛しているのも分かるよ」と藤沢和調教師は1週前追い切りを終えた翌日(1日)の北馬場で調整を見つめながら、そう口にした。2戦目で潜在能力全開となれば…。
キングストンボーイの重賞での走りに期待が高まる一方で、藤沢和厩舎は新馬戦にも注目馬を2頭送り込む。
アルマドラード(牡=
父キングカメハメハ、
母ラドラーダ)は鞍上ルメールで日曜(11日)芝2000メートルを予定。兄に
レイデオロがいる言わずもがなの良血だ。「きょうだいの中では一番距離が持ちそう。
レイデオロは(気性的に)難しい面が多かったけど、この馬は燃えない、割と穏やかな気性」とトレーナー。4回東京開幕週の芝2000メートルでのデビューは
レイデオロと同じ。満を持しての出走だ。
そしてもう一頭、土曜(10日)芝1600メートルを同じくルメールで予定しているのが
シルバースピリット(牡=
父ディープインパクト、
母クライシスオブスピリット)で、「これもいい感じなんだよな」と藤沢和調教師の評価は
アルマドラードと“甲乙つけがたし”といったところ。藤沢和厩舎の「厩舎力」をたっぷりと見せつけられる週末になりそうだ。
(立川敬太)
東京スポーツ