同じようなメンバーでもレースごとに着順が入れ替わる主役不在の混戦だったダート牝馬戦線だったが、ダート2戦目、地方初参戦の
マルシュロレーヌがそれを断ち切る快走を見せた。
前日から降り続く雨で水の浮く不良馬場。ゆえに前残り傾向。逃げたのは川崎の
アッキーだが、
マドラスチェック、
プリンシアコメータは、早め2番手、3番手。3勝クラスを勝ったばかりでも1番人気に支持された
マルシュロレーヌはと見れば、向正面では縦長の7番手。この馬場で、さすがにその位置ではと思ったが、3、4コーナーでは抜群の手応えで外を回って位置取りを上げてきた。
逃げた
アッキーは直線を向いて一杯。
マドラスチェックはそのタイミングまで溜める余裕があって、いざ追い出した。馬場状態もあって、普通ならそれで完勝というパターン。しかし並ぶ間もなく、いともあっさりと交わし去ったのが
マルシュロレーヌだった。
マドラスチェックは3馬身差。さらに2馬身半差3着の
プリンシアコメータにしても、3番手追走とはいえ、前3頭は雁行状態で砂をかぶることもなく持てる能力は発揮したはず。さらに離れて4着の
レーヌブランシュなどもこの馬場状態がどうだったかということはあるが、
マルシュロレーヌの圧倒的なレースぶりの前には、他の馬たちはなんとも評価のしようがない。
ダート転向2戦目で、初めての地方のナイターということでは、矢作調教師も川田騎手も半信半疑だったようだが、まったく問題にしなかった。さらに、前走小倉ダートの桜島Sで見せた直線1頭だけ次元の違う切れる脚を、どろどろの不良馬場でも同じように発揮して見せた。
矢作調教師は今年大井で、
東京スプリント、
東京盃の
ジャスティン、
ジャパンダートダービーの
ダノンファラオ、そしてこの
マルシュロレーヌと4戦4勝。無敵の快進撃だ。かねてから「地元」と言っている大井のJBCでも、
マルシュロレーヌ、
ジャスティンが連勝ということになるのかどうか。
ジャスティン、
マルシュロレーヌは、ともに父が
オルフェーヴル。初年度産駒から
エポカドーロ、
ラッキーライラックというGI馬を出し、その世代には
札幌2歳Sを制した
ロックディスタウンもいた。短距離では
ファルコンSを制した
シャインガーネット、長距離では
ダイヤモンドS3着の
オセアグレイト。芝でもダートでも、2歳戦の早い時期でも古馬になってからでも、短距離でも長距離でも、さまざまなタイプの産駒が活躍している。今後はダートを目指す産駒も増えてくるのではないだろうか。