「
菊花賞・G1」(25日、京都)
打倒
コントレイルの一番手と言ってもいいだろう。重賞2勝を含め、目下4連勝中の
バビット。無尽蔵のスタミナでクラシック2冠馬を苦しめてくれそうだ。管理する
浜田多実雄調教師(48)=栗東=の本音を探るべく突撃したのは、師とマブダチのデイリースポーツ・松浦孝司記者。知る人ぞ知る「栗東トレセンの松ちゃん、浜ちゃん」からどんな話が飛び出すか-。
◇ ◇
松浦(以下・松)「ゆっくり話すのは久しぶりやね」
浜田師(以下・浜)「そうやね。サシでとなると15年ぐらい前のススキノ以来?」
松「そっか。お子さんは何歳になったん?」
浜「今、息子が高2で娘が中1かな」
松「そりゃお互い年取るわけだ。そういや聞いたで。息子さん、超エリート校の○○に通ってるんやて?それ、どこの血?浜ちゃんではないやろ〜」
浜「あれは突然変異やな。
バビットみたいなもんやわ(笑)」
松「ロマンがあってええやん。きょうは
バビットを語り尽くしてもらうからよろしく」
浜「あ、家族の話で思い出した。松っちゃんは俺の結婚式、ドタキャンしたよな」
松「…その節はご迷惑お掛けしました!」
◇ ◇
松「普段はどんな馬?」
浜「そりゃもう馬っ気がキツくて…気に入った子がいたら男女問わず飛んでいくから」
松「勝手に優等生かと思ってたわ。確かに言われてみたら、こないだのパドックで一番後ろを歩いてたなあ」
浜「そうそう。前の馬が気になるから、中めの枠を引いたときは、あえて離れた一番後ろを歩かせてる」
松「
ラジオNIKKEI賞は1枠1番。あの時は?」
浜「先頭を歩くし、前に馬がいないから大丈夫だと思ったけど、なぜか馬っ気出してて。そしたら厩務員の竹下さんが“誘導馬や!”って。誘導馬を見て興奮しちゃうんだもん(笑)。あの時は“ダメだこりゃ”と思った」
松「でも、いざ競馬に行けばしっかりと走るから不思議」
浜「普段、馬房で見ている分にはとても重賞を勝ってる馬に見えない(笑)。でも、競馬に行くと良く見えるんだよな」
松「それはいいね」
浜「
セントライト記念の時に改めてそう思った。追い切り後、竹下さんと“何とか間に合ったかな〜”って話していたぐらいの状態だったし、正直言って自信はなかった。でも、レース当日に装鞍所で馬を見たら驚いた。まるで別馬。あの立派な姿を見て“ちょっとはやれるかな”って自信が湧いてきた」
松「
菊花賞当日もそうなるかな?」
浜「筋肉が盛ってきているし、前回とは見た目からして違う。ウチパクさん(内田博)に乗ってもらった1週前の動きも良かったから、出来は今までで一番と言ってもいい。あとはこのまま無事にレースを迎えられれば」
松「ところで、
神戸新聞杯の
コントレイル、どう思った?」
浜「夏を越してさらに強くなった。結構厳しい競馬をしたと思うけど、もう“強え〜”って感じ。反応が良くなったよね。ダービーの頃は加速はすごかったけど、反応するまでは“アレッ”って思うところがあったから」
松「でも、
バビットの前走の勝ちっぷりもなかなか味があった」
浜「3角からの通過ラップが11秒8-11秒6-11秒9。上がりはかかったけど、あの11秒台3連発が効いたよね。あそこで早めに脚を使っているのに、最後まで踏ん張ってくれた。スタミナをすごく感じたよ。直線の坂もこなしてくれた」
松「ちょっと危なっかしい面もあったけど」
浜「まだ幼いね。1角で外に飛んでいこうとするし、向正面ではカラスに驚いたみたい。まあ、逆に言えばそういう面があるからこそ力むことなく、いい感じで力が抜けて走れているとは思う」
松「ファンの間では“
コントレイルを負かすなら
バビット”って声も多いよ」
浜「自分自身はそこまで
コントレイルを意識はしてない。あの馬を負かすとか、そういうのはないよ。だって
バビットってそんな馬じゃないやん。仮に
コントレイルと同じような脚質ならいろいろと考えることもあるかも知れんけど、ウチのは作戦が限られているから」
松「ウチパクさんに指示は出さない?」
浜「もう、お任せ。あれだけ相性がいいんやし、
菊花賞も2勝してるジョッキーやから。まあ、一度も牡馬クラシックに出走したことのない調教師にどうこう言われたくないでしょ(笑)」。
松「相手は強いけど、初対戦の魅力はある」
浜「確かにね。あとは自分の競馬に徹してどこまでやれるかに尽きる。“これで差されたら力負け”って思えるぐらいの出来にはあるし、何とかいい勝負をしてほしいね」
提供:デイリースポーツ