「
菊花賞・G1」(25日、京都)
単勝1・1倍という圧倒的支持に応え、
コントレイルが史上3頭目となる無敗のクラシック三冠を達成。管理する
矢作芳人調教師(59)=栗東=は、福永とのコンビで15年2着に敗れた
リアルスティールの雪辱を果たし、調教師として史上14人目の牡馬クラシック完全制覇を成し遂げた。また、2年連続でのJRA・G14勝は、
グレード制導入の84年以降で初の快挙となった。
温かい拍手に包まれ、思わず目頭を押さえた。
コントレイルで史上3頭目の無敗三冠を達成した矢作師。首差の接戦に、ゴールの瞬間は確信を持てなかったが、周囲の祝福で勝利を実感した。「いくらか泣いていたかもしれませんね。今まで手掛けたことがない、神様からの授かり物だと思います。(三冠は)競馬の道を志した時は、夢のまた夢でした。幸せですね」と万感の思いをかみしめた。
重圧との戦いでもあった。「自分にしかできない経験」と楽しんでいたつもりだったが、「きょうは一日緊張していました。この状況で緊張しない方法があるなら教えてほしい」と苦笑いするほど。「ファンの夢を壊したくない」と、満足に眠れない日もあった。三冠で初めてとなる有観客での一戦。「ゼロとは大きな違い。少しですが、お客さんに見てもらえてうれしい」と期待に応え、安どの表情を浮かべた。
母ロードクロサイトは、米国のセリで自身とノースヒルズの福田洋志GMとの意見が一致して購入した馬。「お母さんから携わらせてもらっている。調教師冥利(みょうり)に尽きるし、ノースヒルズの戦略は素晴らしい」と感謝する。調教師として、常に経営者の部分と職人の部分の両方を大事にしてきた。職人の目で、母の仕入れから関わった自身ゆかりの血統。偉業達成は格別だった。
「この後は
ジャパンC(11月29日・東京)と考えていましたが、厳しいレースになりましたからね。慎重に状態を見極めたい。日本競馬の宝。もっと成長させられるように、ファンのみなさんに応援してもらえるように頑張りたい」。“飛ぶ”と称された
父ディープインパクトの最高傑作として、今後もファンの夢を乗せて羽ばたき続ける。
提供:デイリースポーツ