前哨戦の
レディスプレリュードを圧巻のレース内容で制した
マルシュロレーヌは、ここまでダートで2戦とはいえ、本番と同じコースを経験して死角はないかに思われた。しかしそうならなかったのは、前哨戦と本番の違いだろうか。
レディスプレリュードでは、直線を向いて
マドラスチェックが先頭に立ったところで、
マルシュロレーヌは2馬身ほどうしろにいたが、そこから難なく差し切って3馬身差をつけた。今回も、直線を向いて
マドラスチェックと
ファッショニスタが馬体を併せて前をとらえたところで、
マルシュロレーヌは2、3馬身ほどの差。同じように伸びれば楽に交わせるはず。しかしその差はまったく詰まらなかった。
前哨戦を圧勝した馬が、断然人気に支持された本番であっさり負けるというようなケースは、競馬ではたびたびあること。JBCでも、レディスクラシックに限らずそうしたケースはこれまでにもあった。
レディスプレリュードを勝たなければ本番へ出走できる保証がなかった
マルシュロレーヌは、そこが
ピークだったかもしれない。対して、1、2着馬にはすでにダート
グレード勝ちがあり、大井1800mでの好走歴もあった。
サルサディオーネは単騎マイペースの逃げが好走条件だが、今回は競りかけて来る馬もなく、それがかなった。ただし、それはレースの序盤だけ。向正面に入ると
ファッショニスタがぴたりと直後につけてプレッシャーをかけはじめた。徐々にペースアップを強いられ、800〜1000mのところに11秒9というラップがあって、1000m通過は61秒4。この日はどのレースも速い決着で時計の出る馬場だっただけに、ハイペースというほどではないものの、自分で刻んだペースではなく、直後の
ファッショニスタに刻まされたペースゆえ直線では苦しくなってしまった。
直線を向いて、
ファッショニスタと、ラチ沿い3番手を追走していた
マドラスチェックが馬体を併せての追い比べ。
サルサディオーネを交わしたところでは
マドラスチェックが前に出た場面もあったが、最後は
ファッショニスタがアタマ差でしりぞけた。
砂をかぶるとよくないという
マドラスチェックに2番枠は不運だった。外に持ち出せる場面がなかったのか、それとも外を回るロスを避けたかったのか。先頭の
サルサディオーネからはやや距離を置いて、極力砂をかぶらないような位置は追走していた。それでも斜め前方にいる
ファッショニスタの手応えを見れば離されるわけにいかない。枠順が逆で、
マドラスチェックが砂をかぶらない外め好位を追走できていたらどうだっただろう、と思わせる差ではあった。
マルシュロレーヌが3着で、4コーナーでは同じような位置にいた
ダノンレジーナが4着に食い下がった。
ダノンレジーナは4歳の今年、順調に条件戦を勝ち上がり、重賞の
プラチナカップでも3着があったが、前走A2特別2着からの参戦だった。牝馬のダート
グレードは、中央馬なら3勝クラス、南関東ならオープン下でも好調馬なら通用してしまうことがある。
ダート
グレード4勝で実績最上位の
プリンシアコメータは好位のうしろを追走したまま見せ場をつくれず。相変わらず1、2着争いか、着外かという成績。
2015、16年に
JBCレディスクラシックを連覇した
ホワイトフーガが引退した後、ダート牝馬戦線はレースごとに勝ち馬が変わる混戦が続いてきたが、期待された
マルシュロレーヌが負けてしまったことで、その混戦は引き続きとなりそうだ。