グランアレグリアにとっては、厳しいレースになった。
速いスタートから楽に好位につけたところまではよかったが、すぐ外には、対戦成績3戦2敗の
アドマイヤマーズがいた。
「別のジョッキーは1番人気の馬をマークする」と話した
グランアレグリアの
クリストフ・ルメールとしては、ずっと併せた形で行くのは避けたかったところだろう。3コーナーを回りながら少し下げ、
アドマイヤマーズを左斜め前に見る位置で半マイルを通過した。
「ずっと
リラックスして、冷静に走ることができました」とルメール。
ようやく外に強敵がいなくなったと思ったら、今度は
福永祐一の
インディチャンプが外を塞ぐように並びかけてきた。
そのまま4コーナーを回ったが、直線入口で、手応えのよかった
インディチャンプは
グランアレグリアから離れ、馬場の真ん中に持ち出してスパートしていく。
それでも、
グランアレグリアの目の前には
アドマイヤマーズがいて、進路がクリアになっていない。さらに、
インディチャンプも壁となって立ちはだかっている。
「いいタイミングで外に出せなかったけど、我慢しました」
そう振り返ったルメールは、まず内を突こうとしたように見えたが、前の
アドマイヤマーズが内にモタれると、外へと進路を切り替えた。
ラスト200mを切ったところで、ようやく外に持ち出すことができた。
「
グランアレグリアは瞬発力がありますので、スペースができてからすごくいい脚を使ってくれました。直線ではちょっとだけ心配しましたけど、最後は強さを見せてくれました」とルメール。
前がひらけてからの
グランアレグリアの伸びは凄まじかった。
インディチャンプの外に並びかけたと思ったら、瞬時にかわし、3/4差をつけて先頭でゴールを駆け抜けた。
マイルとス
プリントの2階級制覇につづき、今度は春秋マイルGI制覇。圧巻の強さを見せた女王の成長曲線は、今なお右肩上がりであることを感じさせられた。
(文:島田明宏)