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【阪神JF】サトノレイナスに国枝師が託す「アーモンドアイ超え」の夢/POGマル秘週報

東京スポーツ
  • 2020年12月09日(水) 19時00分
 アーモンドアイが見事な有終走を飾ってから、わずか2週間後に迎える第72回阪神JF(13日=阪神芝外1600メートル)で、我々は新たな名牝誕生の鼓動を感じることになるのか!? 多くの名馬たちを管理してきた国枝栄調教師(65)から飛び出した「アーモンドアイ超え」。単なるリップサービスか、結構マジなのか…。無傷の2連勝で2歳女王決定戦に乗り込むサトノレイナスの可能性を探った。

 ジャパンCで自身が持つ芝GI最多勝利記録を「9」に伸ばしたアーモンドアイが3日午前、美浦トレセンからノーザンファーム天栄(福島県)に向けて旅立った。翌朝の南スタンド4階で国枝調教師は多くの管理馬の調教をチェックしながら「気が楽にはなったよな。あれだけの馬だったから…」とポツリ。その表情は実に穏やかなものだった。

 希代の名牝が去っても時計の針は変わることなく進む。余韻に浸る時間はほんの一瞬。レースは毎週行われているのだ。まして次から次へと有力馬が出てくるのが今の国枝厩舎。阪神JFに送り出すサトノレイナスも、有力馬の一角どころか、「ニューヒロイン」を狙える立ち位置にいる、2戦2勝のディープインパクト産駒だ。

 国枝厩舎といえば、アーモンドアイだけでなく、アパパネも在籍していたことで知られる。この後の牝馬3冠馬たちは、アパパネが2歳7月のデビュー戦で3着、アーモンドアイもまた8月のデビュー戦で2着に敗れている。対してサトノレイナスは6月のデビュー戦で見事に勝利。2頭の3冠牝馬と比べてデビュー時期がさらに早く、しかも結果を出していることは注目に値しようか。

 ちなみに現3歳の全兄サトノフラッグもまた10月のデビュー戦で6着に敗れた後、未勝利戦から弥生賞まで3連勝を飾っている。そのあたりも踏まえたうえで、サトノレイナスの可能性について国枝調教師に話をうかがうと…。

「フラッグは牡馬なのもあってか、入厩してすぐはピリッとしなかったんだけど、レイナスは早い時期から気持ちが入っていたし、それでいて馬体も立派。早い段階から(素質は)上だったよね。実際、北海道にいる時から牧場でも評判になっていた。基本的に優秀な馬は早い時期から目を引くものなんだ」

 日本競馬の中枢をなすノーザンファームの生産馬となると、数多くの将来有望な馬たちが集う中にあっての評価を意味する。サトノレイナスの資質の高さを示す十分な根拠になり得るだろう。

 そして新馬→サフラン賞(1勝クラス)と1600メートルで順調にステップアップしてきたサトノレイナスにとって、同距離の阪神JFへの出走は青写真通りと思えるのだが、国枝調教師からは意外な答えが返ってきた。

「個人的には(1800メートルの)東スポ杯を使いたかったんだ。馬の格好を見ると2000メートルは欲しいからね。ただ、オーナー(サトミホースカンパニー)が牝馬のGIをまだ勝っていないこともあって、まずはここへ向かうことに。牡馬と一緒の路線に行きたい気持ちもあったんだけどね」

 アパパネアーモンドアイに比べても四肢が長くスラッと見せる体形。トレーナーの中にはマイルよりも“長い距離で”の思いが強いのだ。さらには「冗談みたいな話になるんだけど」と前置きしたうえで、壮大なプランが胸中にあることを明かしてくれた。

「牝馬で、しかも無敗で皐月賞からダービー、さらには(3歳秋での)凱旋門賞(を勝つ)ってことになれば、あの馬を超えるわけだよな。まあ、アーモンドアイだって出ていればダービーを勝っていただろう。最近は世界的に見てもトップクラスは牝馬が強いからな」

 もちろん、現実はまだ新馬→1勝クラスを制しただけの馬。あくまで“夢物語”ではあるのだが…。“アーモンドアイ超え”の有資格馬であることだけは間違いない。今週末はそんな可能性に満ちたサトノレイナスの走りをじっくりと堪能したい。

(立川敬太)

東京スポーツ

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