SNS上で「かわいい」と大人気の
ソダシに勝手に
ジェラシーを感じている。もちろん、記者が「かわいい」と言われたいわけではない。同じ“白毛一族”(=母系に白毛馬
シラユキヒメ)の血を引く
メイケイエールにも注目していただきたいのである。
「ウチのは白くはないですけど、白毛一族らしい品があって女優さんみたい。歩き方、馬房での立ち居振る舞い、草を食べるしぐさひとつ取っても上品なんですよ」
笑顔でこう話すのは
メイケイエールを管理する武英調教師。道中の折り合いを欠きながらも力でラ
イバルをねじ伏せる。そんなレースで見せる荒々しいイメージとは対照的に、普段の姿はとても扱いやすいお利口さんなのだそうだ。
「いわゆる
ツンデレってやつですかね。レースでもかかってムキになっているというよりは、真面目過ぎるがゆえに、グーッと行っている感じなんですよ」
そう、競馬で見せる前進気勢あふれる走りは、“前の馬を抜かさなければ”という彼女の生真面目な性格の表れ。人間の世界でも普段はおとなしいのに、仕事となると人が変わったようにバリバリ働く。そんな女性が周りにいるのでは?ドラマで例えるなら、NHKの朝ドラ「エール」で二階堂ふみさんが演じた音のようなキャラクターだろうか。
個人的には、仮に折り合いを欠いても勝てるのではないかと、底知れないポテンシャルに期待しているが、陣営の視点に立てば“競馬はそう甘くはない”が本音だろう。ゆえに、折り合いの改善に向けて中間も様々な工夫を行っている。
「普段から前にパートナーを置いて慣れさせたり、いろんなコースで乗るようにしてもらっています。この中間からクロス鼻革を着けて、ハミも
ダブルジョイントからシングルのもの(水勒ハミ)に。以前は抑えると頭を上げるようなところがありましたが、今は高い位置で我慢ができるようになっています」とは担当の吉田助手。
よくトレセン関係者は折り合いを欠いた状態を例えて、
アクセルとブレーキを同時に踏みながら車を運転しているようなものだという。それほどロスの多い競馬ですでに重賞を2つも勝っている馬がスムーズに運べたとしたら…。一体どんなパフォーマンスを見せるのか、楽しみで仕方ない。
状態面に関しても「ここ3戦ともいいパフォーマンスを見せてくれていますが、中間の調整という意味では今回が群を抜いています」と武英調教師。これなら
ソダシとの“白毛一族対決”が、さらに白熱することは間違いなかろう。
同じ「
シラユキヒメ一族」の
メイケイエールの懸命で“つよかわ”な走りにも、ぜひ声援を送っていただきたい。
(栗東の馼王野郎・西谷哲生)
東京スポーツ