ばんえい競馬の馬はサラブレッドに比べて本格化の時期が遅いため、世代限定重賞はサラよりも遅くまで組まれている。
サラ中央の場合は3歳10月の
菊花賞が最後だが、ばんえいは4歳の年度にも三冠路線がある。7月の柏林賞、9月の銀河賞、そして年が明けて例年1月3日に行われるのが今回ご紹介する天馬賞だ。ちなみに夏には3〜4歳馬で行われるはまなす賞、3月には明け4〜5歳馬で行われるポプラ賞というレースもある。
4歳(天馬賞時点では明けて5歳)三冠レースに話を戻すと、柏林賞と銀河賞は別定戦で行われるため実績上位馬は重い荷物を曳くが、天馬賞は定量戦で全馬同じ条件で戦う。この構造はばんえいダービーのみが定量で行われる3歳三冠と同じである。当然、天馬賞はそこまでの実績、そして近況の良い馬が有利となる。
そして、今年はこの天馬賞で大記録に挑む馬がいる。メムロボブサップだ。この馬は昨年度の3歳三冠馬。そして4歳になった年度にも柏林賞と銀河賞に勝っている。つまり天馬賞に勝てば「ダブル三冠」を実現するのだ。
4歳三冠路線は帯広単独開催になった2007年度にできたもので、それ以降の3歳三冠馬はメムロボブサップのみ。当然、ダブル三冠に挑む初めての馬ということになるし、今後もそんな馬はなかなか出ないだろう。
ばんえいは強い馬でも相手関係や重量差、第2障害のデキひとつで大敗することがあるが、メムロボブサップは昨年7月以降、年長馬相手のレースも含め10戦連続で連対している。近況も安定しているということになる。当然、今回の最有力候補である。
実績のすごい馬が近況も良く定量戦に出走するとしたらもう決まりでは……と思う方もいるだろうが、ばんえいで狙ったレースを勝ち切ることは簡単ではない。さらに今回はこれまでの惜敗人生にピリオドを打とうと燃えている馬がいる。アオノブラックだ。
アオノブラックは3歳三冠で3・2・2着、4歳時の二冠レースで4・2着。常にメムロボブサップの脇役となってきた。
ただ、この馬も強い馬ではある。メムロボブサップがこれまで敗れた重賞は3つあるのだが、うち2つの勝ち馬がアオノブラックなのである(残り1つははまなす賞で1つ年下の馬が優勝)。昨年11月のドリームエイジカップ(古馬重賞)では重量が10キロ軽かったとはいえ、アオノブラックが勝ってメムロが2着。直近の重賞で勝った勢いで、定量戦でもメムロ超えを狙う。
この2頭の一騎討ちになる可能性は高いが、伏兵も食い込みを狙う。インビクタは障害の巧さを生かしたいところ。
コマサンブラックは3歳12月のダービーが重賞初出走という遅咲きだが、そこから1年で一気に力をつけてきた。
アオノゴッドは終いの脚が確実なので、前を行く有力馬に離されずくらいついて行きたいところ。
コマサンエースはまだちょっと力不足かもしれないが、先行力はある。デビューしたばかりの新人騎手・
金田利貴の手綱捌きにも注目が集まる。
(文:須田鷹雄)
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