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【朝日杯FS】兄ベルジュールの無念晴らす!レッドベルオーブ「血のドラマ」/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2020年12月16日(水) 20時00分
 それにしても、すごい一年になったものだ。競馬界にとって2020年はまさに記録ずくめ。コントレイルデアリングタクトと牡牝ともに無敗の3冠馬が誕生し、ジャパンCではその2頭を従えアーモンドアイが芝GI9勝を達成。さらには先週の阪神JFでソダシが史上初の白毛馬によるGI制覇、海の向こうでもダノンスマッシュ香港スプリントを、ノームコア香港カップを制してみせた。

 さすがにもう、おなかいっぱい?いやいや、今週もまた新たなドラマ誕生の予感が…。朝日杯FS(日曜=20日、阪神芝外1600メートル)にエントリーしているレッドベルオーブの全兄レッドベルジュールといえば昨年、新馬戦→デイリー杯2歳S連勝と高い素質を誇示しながらも、ケガやノド不安の影響により、わずか3戦でターフを去った。そのラストランとなったのが朝日杯FS(10着)。

 そう、弟レッドベルオーブがここでビッグタイトルを獲得し、兄レッドベルジュールの無念を晴らせるか――。まさに注目の一番となるのだ。

 この兄弟ストーリーに筋書きがあるとすれば、レッドベルオーブの前走=デイリー杯はその序章と言えるだろう。

「直線で内を突く同じような勝ち方だったよな。ベルジュールはノドのことなどもあって残念なことになったが、このきょうだいはみんな走る。ベルオーブはレコードで走破したわけだし、モノとしては間違いないよ」

 こう話すのは両馬の管理トレーナーである藤原英調教師。前哨戦のデイリー杯で兄弟制覇を成し遂げた期待の素質馬とともに、2年越しのリベンジに挑む。

「前走に関しては勝つことが重要だった。まだ馬の絶対能力の高さに体が追いついていないのが現状だが、それはいいことでもある。動き過ぎるところだったり、折り合い面だったりの課題があれば、これから直していけるわけだから」

 まだ粗削りながら、重賞を勝てるだけのハイポテンシャル。これに名門厩舎が誇る百戦錬磨の究極仕上げが加われば…。まさに期待は膨らむばかりである。

 一方でデイリー杯前の未勝利戦も含め、2戦続けてレコードで走った反動が気になる方もいることだろう。実際、レッドベルオーブはデビューから478→470→468キロと馬体を減らし続けている。

 この点については指揮官も「そこはいかんよな。今回はプラスか、維持でないと」と気にしていた時もあったのだが、現在は480キロ前後までボリュームアップしたことでトーンも自然に上がってきた。

「反動?人間が判断できるところでは大丈夫。まだ2歳だし、まずは体調を良くして健康体で臨むこと。それが何より重要なんだよな」

 大一番へ向けての調整は青写真通りに着々と進んでいる。

 兄レッドベルジュールは素質の高さと血統の良さを買われ、アロースタッドで種牡馬入りとなったが、仮に現役を続けていたとしたなら…。

 そう、弟レッドベルオーブの走りに兄の可能性も見いだされ、その価値を高めることもできるのだ。志半ばで現役を退いた兄の分まで…。今週はそんな「血のドラマ」に酔いしれてほしい。

(栗東の馼王野郎・西谷哲生)

東京スポーツ

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