夕闇が降り始めた19日の午後4時20分。史上初の芝G1・9冠馬
アーモンドアイがパドックに姿を現した。ソーシャルディスタンス厳守もあってか歓声は上がらない。静かな空間の中で、シャッター音だけが響き渡った。
主戦のルメールは、感謝の言葉を手紙にしたためて読み上げた。「きょうは、日本の競馬を塗り替えた素晴らしい馬をお祝いする日。最初から特別なたたずまい、走る姿、
ファイティングスピリットを持っていました。記憶に残るパフォーマンスを見せてくれました」と最愛のパートナーとの別れを惜しんだ。
国枝師も感慨深げだ。「ジーンとくるものがある。レースでの一番の思い出は最初の
ジャパンCですごい時計(芝2400メートル2分20秒6のレコード)を出した時。ロンジンの時計はあまり信用できないなって思った」。この時ばかりはファンの笑い声が響いた。
今後はノーザン
ファーム天栄(福島県)に戻り、24日に同地を出発。25日に生まれ故郷のノーザン
ファーム(北海道安平町)へ戻って繁殖牝馬としての生活をスタートさせる。
吉田勝己ノーザン
ファーム代表は「最初に言っちゃったから
エピファネイアを付けます。(子孫が大活躍中の)
シーザリオみたいになってほしいね」。ひた向きに走り続けた名牝の物語。その第2章はこれから始まる。
提供:デイリースポーツ