無敗の3冠馬が2頭も誕生し、競馬界の黄金期ともいえた2020年。アーモンドアイの引退など残念なニュースもあったが、有馬記念は大物こそ不在もメンバー的には昨年と遜色のないメンツが揃った。昨年のコラムにも掲載したように、雨が降ると馬場傾向がガラッと変わってしまうのが中山。混戦ムード漂うだけに、木曜日の枠順抽選会についても非常に注目が集まる。

　今年のメンバーでいえば、逃げる可能性があるのはバビットとキセキの2頭。前者は菊花賞で先手を取れなかったぶん、ここで主張してくる可能性が高いので、キセキの出方が展開に与える影響は非常に大きい。

　後者が逃げた場合は大逃げの縦長のレース、バビットが楽逃げのケースは4角ある程度の一団となりそうなので、枠も踏まえてそのあたりは最後までしっかりと確認する必要があるだろう。いずれにせよ3-4コーナーからのロングスパート戦になるので、中山適性のある馬を中心に組み立てたいところだ。

　ちなみに、データ上で見ると過去10年で8枠は一度も連対しておらず明らかに苦しい。ただ、唯一雨上がりの稍重で行われた一昨年のレースは1-5着がすべて8番より後ろの馬番で決着しているように、雨が降ると外伸び馬場に一変する可能性が非常に高い。

　当日の天候は微妙であるが、雨が降るようであれば過去のデータ度外視で見るのも手だろう。また、3歳馬が5勝で5歳馬が4勝と好成績を残すなかで、4歳馬が1勝とやや低調な数字に。人気になりそうなクロノジェネシスに当てはまるだけに、やや不安な面は否めない。

　筆者の考えでは、同じ人気になりそうな馬でもむしろフィエールマンのほうが、より不安を抱えているように感じている。やはり小回りの中山は不向きな条件のうえに、昨年抜群の手応えから伸び悩んだ点を見ても、昨年以上の走りは厳しい。バッサリ切るまではないものの、相手の1頭までが妥当か。

　一方で、クロノジェネシスに関しては宝塚記念で好走しているように、今の荒れた馬場はベスト。枠も極端に内でなければチャンスは十分で、よほど乗り方ミスがない限りは上位に進出しそうだ。

　狙って面白いのはカレンブーケドールだろう。秋華賞ではクロノジェネシスに屈したが、ハイレベルのジャパンCで2、4着に加えて、距離延長と先行力のある競馬で馬場不問のタイプ。理想は前走同様に内枠を引いてロスなく運ぶレースで、相性の良い池添騎手に替われば、念願のGI制覇も見えてくるだろう。アタマまで意識した馬券で買いたい1頭だ。

　今年の有馬記念は上位人気馬にそれぞれ不安要素があるだけに、中波乱もしくは例年にない大波乱となる可能性も十分にあり得る。2020年の下半期は回収率でプラス収支と絶好調だけに、最後は良い形で締めて2021年を迎えたいところ。最終的な予想を、ぜひご期待ください。
(文＝倉本匠馬)

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