浦和所属馬初となる、2019年の
JBCスプリント(浦和)優勝と、NAR
グランプリ2019
年度代表馬を獲得した、
ブルドッグボス(浦和・
小久保智厩舎)。
ラストランとなった12月23日の
ゴールドカップ(浦和・1400m)は、
御神本訓史騎手を背に、21キロ増も苦にせず圧巻の強さを見せ、1番人気に応え有終の美を飾った。
ブルドッグボスは、2014年10月に
中央競馬からデビューすると7勝を挙げ、2017年7月からは南関東競馬の仲間入り。その年の
クラスターカップで念願の重賞初制覇を飾ると、ダート
グレード競走を中心に活躍が続いた。
現役生活の中で1年ほどの休養期間は、重度の屈腱炎を発症してのもの。そこから完全復活を遂げ、昨年の
JBCスプリントでの勝利だった。
「浦和に来た時から、『自分がボスだ』っていうオーラを出して調教で走っていたところは、最後まで変わりませんでした」と、調教パートナーの
橋本直哉騎手。
ラストランで駆け抜けた貫禄たっぷりな姿は、まさに『ボス』。コ
ロナ禍で、場内は大きな声が出せない分、最後の直線を先頭で迎えた際には拍手が早々鳴り始め、後続を突き放していくと、さらに大きな温かい拍手に包まれた。
「(21キロ増で)正直不安もありました。装鞍の時に、『ちょっとふっくらしたんですか?』と先生に聞いたら、『馬はできているから』と言っていたので、その言葉を信じて、返し馬で乗ったらこれなら大丈夫だなと。
ボスも頑張ってくれて、スタッフさんも本当にすばらしい仕上げで送り出してくれたお蔭で、何の不安もなく、スタートから直線まで余裕を持って騎乗ができました。
昨年のJBCをはじめ、いい経験といい思い出を作ってもらって、本当に感謝しかなかったので、ウイニングランの間はずっと『ありがとう』と言いながら乗っていました」(御神本騎手)
地方競馬史に名を刻んだ
ブルドッグボス。来春から種牡馬として第二の生活が始まり、早ければ2024年に
ブルドッグボス産駒がデビューする(繋養先はレックススタッド予定)。今度は父
ブルドッグボスとして、楽しみは尽きない。
【小久保調教師】
「一番印象に残っているのは、2年前の
かきつばた記念(5着)です。レースを走り終えて引き返してくる時、負けてしょげたボスの姿を見て、ちょっとショックを受けました。
能力のある仔なのに、人の手によって、かわいそうな思いをさせてしまったなぁと。ボスはそういうことをちゃんと訴えてくれる仔で、どの馬もそうですが、そういう気持ちをちゃんと汲める調教師にならなければいけないと思いました。
ボスは本当に気持ちの強い仔で、肉体的にはもちろん気迫も他の馬とは全く違いました。ボスには、うれしかったこと、悔しかったこと、いろんなことを教えてもらいました。最後の
ゴールドカップは楽しそうに走っていましたね。種牡馬になることは喜ばしいことですし、子供たちにもぜひ携わってみたいです」
【
ブルドッグボス】
8歳牡馬
馬主 HimRockRacingHD(株)様
生産 鮫川啓一様(浦河)
父ダイワメジャー、
母リファールカンヌ、母
父デインヒル浦和・
小久保智厩舎(取材・文:高橋華代子)