「
有馬記念・G1」(27日、中山)
特別な一年の総決算。制したのはファン投票1位、レースでも1番人気に推された芦毛の
ヒロインだった。“牝馬強し”の前評判をさらに印象づけるがごとく、2020年の
宝塚記念馬
クロノジェネシスが力強い走りで暮れの
グランプリも完勝。
北村友一騎手(34)=栗東・フリー=の絶妙なエスコートも相まって、見事に同一年春秋
グランプリ制覇を成し遂げた。
牝馬の一年。それを象徴するように、芦毛の
ヒロインが
グランプリの主役を見事に演じ切った。
有馬記念ファン投票歴代最多の21万4742票を獲得し、当日も1番人気となった
クロノジェネシス。6馬身差圧勝の
宝塚記念と同様、ファンの圧倒的な支持を追い風に、最高の結果をたぐり寄せた。エスコートした北村友は「いつものクロノらしく、いつもの自分らしく競馬ができたのが良かった」と笑みを浮かべる。
テーマは“自然体”だ。新馬戦からずっとコンビを組んできた相棒がリズム良く、
バランス良く走れることを第一に心掛けた。結果、落ち着いたのが後方5番手のポジション。他の有力馬をしっかりと視界に入れながらレースを進めた。仕掛けのタイミングを計りつつ、呼吸が一致したのが3角手前。馬群の外めを押し上げ、直線入り口では早々と先頭に並び掛ける勢い。内で粘る
フィエールマンを競り落とした後、ゴール寸前で
サラキアが猛追したが「差されるとは全く思っていませんでした」と会心のレース運びを振り返った。
綿密な復習が役に立った。自身は
有馬記念初騎乗で、中山での重賞勝ちすらなかったが、幸運だったのは土曜の12R、当日の8Rと2鞍で中山芝2500メートルに騎乗できたこと。「いいイメージで臨めたことが大きいと思います」。直前の騎乗経験を大一番へつなげてみせた。
コントレイルと
デアリングタクトが無敗で三冠を達成、
アーモンドアイがG1・9勝締めで引退、
ソダシが白毛馬で初のG1勝利-。災厄の年に、競馬界では後世に語り継がれる名場面が次々と生まれた。特別な一年を締めくくったクロノの走りも、ファンの心に深く刻まれたに違いない。「未対戦の三冠馬がいますし、譲らないよう、主役として引っ張っていけるように」。主戦の誓いに熱がこもった。気持ち新たに迎える2021年。一層深まった人馬の絆が、未来を明るく照らしていく。
提供:デイリースポーツ