年男として2021年を迎える
矢作芳人調教師(59)=栗東=が、デイリースポーツの新春インタビューに応じた。2020年、自身3度目の全国リーディングを獲得した指揮官は、3冠馬
コントレイルと描く壮大なプランを披露。貪欲に“前年以上”を目指していく。
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-さまざまなことがあった2020年。改めて振り返ると。
「多くのファンに応援してもらっている厩舎だし、皆さんになかなか競馬場に来ていただけなかったのが残念という思いが一番強い。続いては、やはり
コントレイルになるけど、そこにうまく引き継いでくれたのが
モズアスコット。年明けからダートに使いだして2連勝でG1を獲ってくれた。ダート転向という思い切ったことをして成功したのはうれしく、厩舎がその勢いに乗って3冠に突入できたのが良かった」
-3度目の全国リーディングに加え、最多賞金獲得は2年連続。
「色んな面でキャリアハイなんだろうけど、満足していないし、もっと勝てたという思いが強い。この欲深さがなくなったら調教師をやめる時だね」
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コントレイルが3冠を果たせた要因は。
「連携でしょうね。厩舎、牧場、騎手、この連携が完璧に取れていた。どれか一つ欠けても駄目。みんなが同じ方向を向き、同じ考え方で馬に接したのが大きかった。全員が究極のプレッシャーと戦った無敗3冠。それは重いですよね」
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コントレイルの今後について。
「
ディープインパクトの真の後継種牡馬にしたいので、最低でもあと(G1を)3つは獲ってディープの7つに並ばせたい。それは最低限の目標。ディープを超えられるようにしたい。
大阪杯から、G1しか使いません。負けずにいきたいです。秋は王道3つと思っているし、もう少しタフさという点での成長が欲しいですね」
-矢作師はうし年生まれの年男。21年の抱負は。
「20年がいい成績だったので、各馬クラスも上がって苦しい戦いになると思うが、2歳もいい馬が入ってくるしね。前年を超えるのが毎年の目標なので、今年は駄目と言われたくない。同時に
古川奈穂(3月に厩舎からデビュー予定の騎手候補生)をしっかり育てること。乗馬未経験で入っているので、技術的には足りないところだらけ。ただ、模擬レースは俺が見ていた時だけ勝って2連勝。勝負強さはあるし、スタートがうまい。これは4キロ減でデビューするにあたって武器。成績もそうだけど、周りに愛されるジョッキーになってほしい」
-20年は
坂井瑠星騎手も活躍した。
「42勝(地方込みで44勝)?倍は勝てる技術を持っているよ。弟子が2人になって大変ですねと言われるけど、瑠星はもう一人前だと思っている。100勝を目指させようと思っているし、それだけのジョッキーだよ」
-夢は膨らむばかり。
「いくつになっても新しいことに挑戦したいし、常に若く、フレッシュでいたいね。個人的にはもう少し健康に留意しようと思います。(JRA通算)700勝は春には達成したい。
凱旋門賞はもちろん、
函館記念も獲っていないし、獲りたいレースはいっぱいある。そのピースを一つずつ埋めたいね」
提供:デイリースポーツ