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【シンザン記念】「沈むような走り」と「バランスバック」のモヤモヤ解消してくれた千田調教師が送り出すダディーズビビッド/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2021年01月08日(金) 18時00分
 誤解を恐れずに言えば「みどりのマキバオー」のせいである。

「沈むような走り」。そう聞いて、皆さんはどういう画をイメージするだろうか?記者は馬が首をグッと低くして走る姿…そう、マキバオーの宿敵カスケードがここぞという時に見せる地を這うような走りをイメージしていた。

 ところが…。ここ数年のトレセンでは「バランバック」という言葉がいい走りの象徴として頻繁に登場するようになった。バランバックとは何ぞや?なんと重心が後ろに乗って馬の体が起きることを指す。沈むような走りこそが理想と思っていた記者は、2つの言葉が相反するように感じて、うまくかみ砕けないでいたのだが…。

「どちらも矛盾するものではないんですよ」とは元ジョッキーの千田調教師。モヤモヤを解消する解説をしてくれた。まず沈むような走りとは記者がイメージしていたものとは違うのだそう。

「体を上手に使って、手足をしっかり伸ばして走っている状態のことですかね。そういう時に乗り手は馬が沈んだように感じるんです」

 沈むような走りとは言葉通り、馬の首が沈んでいるわけではなく、全身の一連の使い方を指す言葉だったのだ。ではこれがバランバックとどうつながるのか。

「馬の体が起きてくると蹴る力が地面に伝わりやすくなる。そしてトモの踏み込みが深くなると、蹴ったエネルギーがキ甲を通して首へと伝わる。そうすれば手足が伸びて、自然と一完歩も大きくなるんです。それがたった1センチだったとしても、2000メートルのレースを走るとすれば何百完歩…数メートルの差ができる。一完歩をどれだけ伸ばせるか。それが調教師の仕事なんですよ」

 千田調教師の言葉に、目からうろこが落ちるような思いがした。シンザン記念にはその千田厩舎からダディーズビビッドが出走する。

「折り合いがカギになるけど、ここでいい競馬ができれば先々が楽しみになる」とトレーナー。地道に一完歩を伸ばす努力を続けてきた厩舎の期待馬が、どんな走りを見せてくれるのか注目してほしい。

(栗東の馼王野郎・西谷哲生)

東京スポーツ

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