これといった逃げ馬が不在で、どの馬が先手を取るのか予想するのも難しいメンバー構成になった。
そんななか、好スタートからハナを切ったのは、
福永祐一が騎乗する4番人気の
ピクシーナイトだった。
ピクシーナイトは、昨年9月26日に行われた中京芝1400mの新馬戦で差し切り勝ちをおさめた。が、11月23日の前走、阪神芝1400mの秋明菊賞では出遅れて馬群に取りつくと行きたがり、直線入口で前が塞がるなど、スムーズさを欠いて3着に敗れていた。
中間はゲート練習をして、初めてのマイル戦となるここに出てきた。
ピクシーナイトはゲートからの10完歩ほどで体ひとつ抜け出し、内に切れ込みながら、引き込み線から第2コーナーに合流したあたりで単騎逃げの形に持ち込んだ。
「前回はスタートの駐立が悪かった。陣営がそこを重点的に修正してくれたおかげで、非常にいいスタートを切れました。それが大きかったと思います」
そう振り返った福永は、周りの出方によっては、逃げる形も想定していたという。
向正面に入っても単騎で快調に逃げ、前半800m通過は46秒3。追走に苦労するほどの流れではなかったが、1番人気の
ククナは中団より後ろで、
クリストフ・ルメールの手は追っつけ気味に動いていた。
ピクシーナイトは楽な手応えで3、4コーナーを回り、直線へ。そのまま後続を寄せつけず、2着に1馬身1/4差をつけてフィニッシュ。福永に通算2400勝目をプレゼントした。
ククナも直線で伸びていたが、4着まで追い上げるのが精一杯だった。
このレースに関しては、
ピクシーナイトが単騎でハナを取り切ったところで勝敗が決した感がある。全3戦で手綱を取ってきた福永は、今回逃げて勝ったからといって、この馬を「マイルの逃げ馬」というふうにはとらえていないようだ。
「GIを勝てる能力を持っている、という認識はありました。あとはどういったレースができていけるかです。今日は逃げる形になりましたが、この次のレース次第でどの距離のGIを狙っていけるのか、ある程度見えてくると思います」
そう話した福永とのコンビで、次はどんなレースを見せてくれるのか。大きな楽しみができた。
(文:島田明宏)