ディープインパクト産駒の特徴を問えば、おそらくは「軽さ」とか「切れる」など、瞬発力に結び付くワードが並ぶことになるだろう。もちろん、それは間違いではなく、切れがそがれる道悪競馬にでもなれば、ディープ産駒を思い切って馬券対象から外すファンも少なくはない。
実際、記者もそうだ。道悪だけでなく、時計を要する荒れた馬場も相当なレベルで割り引いている。しかし、産駒のすべてが傾向に当てはまるわけではなく、瞬発力よりも
パワーを武器にするディープ産駒がいるのも事実。そして、この
ジャッジこそが馬券の肝になることが多かったりする。
例えば、
きさらぎ賞(7日、中京芝2000メートル)に出走する
ヨーホーレイク。父と同じ金子真人HDの勝負服をまとう“本家本元”のディープ産駒で、その雰囲気からも、めちゃくちゃ切れそうなイメージなのだが…。全兄にディープ産駒初のダート重賞勝ち馬になった
ボレアスがいる血統背景が示すように、実際は切れよりも
パワーで押すタイプの馬だ。
「脚をためてズドンという感じの馬ではないですね。それは前走(
ホープフルS3着)を見てもわかりますよ。勝った
ダノンザキッドを捕まえることはできなかったけど、離されることもなかった。4コーナーでつけられた差のままでゴールしてましたから。スタートで押し込まれちゃったのが残念でしたが、どこまでも脚を使える特徴がわかるレースでした」(大江助手)
つまりは産駒のイメージにそぐわない持久力タイプ。父はもちろん、昨年の3冠馬
コントレイルのように“とんでもない脚”を使うことは今後もないだろう。
では、今後も善戦マンで終わってしまうのか?そんなことは決してなく、道中の位置取り次第で解消してくるものかもしれないし、何より
ヨーホーレイクの成長過程…というよりは調整過程を振り返れば、この先は伸びシロしかないようにも思えてくる。
「入厩当初からかなりの緩さを感じる馬だったこともありますし、何より脚元の故障が怖い血統。レース間隔をたっぷりと取っている理由もそれですね。その時点で可能な負荷をかけるというやり方をしているので、どうしても進みが遅くなってしまいますが、そういう状況でも1週前はかなりの動きをしてくれましたから。追い切りに乗ってくれた(藤岡)コータ(レースは
武豊)も“グレート”って言ってました(笑)」
GI仕様とは思えなかった
ホープフルS時の
シルエットは今春、もしくはそれ以降を見据えたもの。いかにも仕上げを焦らない友道厩舎らしいが、今回は前走以上の雰囲気。つまり、
ステップアップして迎えるシーズン初戦に注目しないわけにはいかない。
もちろん、軽さよりも
パワー優先の中京最終週の馬場については「プラスに働くと思う」と付け加えていたのは言うまでもないか。
(栗東の本紙野郎・松浪大樹)
東京スポーツ