メンバー中1頭だけ58kgを背負い、自分でペースをつくって3コーナー過ぎから後続との差を広げて2着に9馬身差。しかも地方の乾いた良馬場で36秒4という上りをマークしてのレコード勝ち。ほかに
グレード勝ち馬が
ロードゴラッソと、全盛時ほどの能力は望めない
グレイトパールだけというメンバーで、
クリンチャーは圧倒的な力の違いを見せつけた。
ダートに転向してから勝ちきれないレースが続いたが、昨年11月の
みやこSでダート重賞初勝利。今回のレースぶりなら、むしろ時計のかかる地方のダートでこそという可能性はある。GI/JpnIレベルで勝ち負けまではどうかだが、地方の小回りコースがこなせただけに、2000m前後の路線で稼げる機会はかなりありそう。
父ディープスカイの産駒は、ほかに
キョウエイギア(
ジャパンダートダービー)、
サウンドスカイ(
全日本2歳優駿)、
タマノブリュネット(
レディスプレリュード)、
モルトベーネ(
アンタレスS)などダートの活躍馬ばかり。むしろ芝重賞を勝ったのは
クリンチャーだけ。母の父が
ブライアンズタイムなら血統的にもなおさらダートでこそ。すでに7歳だが、ダートなら脚元への負担も少なく、まだまだ活躍が期待できそうだ。
外枠で好スタートを切った
アシャカトブが逃げるかに思えたが、意外に主張せず。ハナを取ったのは1番枠の
クリンチャーだった。ダートに転向してからは初めての逃げだが、誰も行かないならということはあっただろうし、断然人気馬ゆえ、他馬からマークされて内に閉じ込められるのを嫌ったのだろう。川田騎手はそれだけ自信があったのかもしれない。
2馬身ほど離れての2番手集団が、
メイプルブラザー、
ウインユニファイド、
アシャカトブで、やや離れたところから2周目の向正面中間過ぎで差を詰めてきたのが、
ロードゴラッソと
ハナズレジェンドという展開。
そして9馬身離れての2着争いは、2番手集団3頭の中では
アシャカトブだけが残り、勝負どころで仕掛けてきた
ハナズレジェンド、
ロードゴラッソとの接戦を制した。
アシャカトブは圧倒的に強かった勝ち馬を追いかけたにもかかわらず、後半勝負に賭けた2頭を振り切ったというレースぶりは評価できる。中央でも地方でも、GIII/JpnIIIレベルならいずれ勝つチャンスは巡ってくるだろう。
昨年7歳秋にダートに転向した
ハナズレジェンドは確かな末脚を見せた。メンバーと展開次第ではまだチャンスはありそうだが、地方のダート
グレードとなると賞金的に出走機会を得られるかどうかが難しい。
ロードゴラッソは、昨年
名古屋大賞典を制したが、地方では好走までというレースが多く、脚の使いどころが難しい。
ウインユニファイドは4コーナーで一杯。昨年7月の
ジュライSで
クリンチャーを負かしていたが、それ以来7カ月ぶりの休み明けに加え、9歳という年齢ではさすがに厳しかったか。