美浦トレセンでは世代一番乗りとなる2歳馬4頭が11日に入厩したことで話題を集めた藤沢和調教師。来年2月いっぱいでの定年を前にしながら、飽くなき探求心で馬づくりにまい進している。長らく日本競馬をけん引してきたレジェンドに続けと2歳馬の早期入厩傾向もさらに強まる気がしてならない。
入厩した4頭の2歳世代の調教ゼッケンは1-4番。振り返れば昨年、すなわち現3歳世代の1-3番も藤沢和厩舎の所属馬だった。その中で「ゼッケン3番」だったのがリステッド・
ヒヤシンスS(21日=東京ダート1600メートル)に鞍上ルメールで出走予定の
ラペルーズである。
もっともこの
ラペルーズ、早期入厩から6月にデビュー(東京芝1800メートル)したものの、16頭立ての15着に大敗。その後に移籍先の道営・門別で3戦(2勝)して、中央再転入を果たした異色の経歴の持ち主である。
「デビュー戦は気難しさを出して変な競馬になってしまったけどね。もちろん、能力はあんなもんじゃないと思っていた。それにダートのほうが良さそうな走りだったんだけど、中央だと(2歳の早い時期は)ダートのレースが多くはないし、続けてレースを使いたい気持ちもあったからね。それで道営で走らせることにしたんだ。(父の)
ペルーサだって2歳のころは“ダート馬かな?”って思うくらい体がしっかりしていたから、産駒がダートに適性があっても不思議はなかったんだ」と藤沢和調教師は解説してくれた。
再び中央に戻った
ラペルーズは1勝クラス(中山ダート1800メートル)を完勝。勝ち時計1分53秒7は同日のチバテレ杯(古馬2勝クラス)を0秒3上回る。「時計がいいし、勝ち方も良かった。ジョッキー(戸崎圭)もすごく褒めてくれたんだ」と師も納得の勝利だった。
その後は
ホープフルSやサウジダービーの登録もしながら、じっくりと機をうかがってきた。2か月半近くもレースを使わずに在厩で調整を重ねるのも珍しい。それだけにこの
ヒヤシンスSが体調や将来的ビジョンを見極めたうえでの出走なのは間違いない。UAEダービー、さらには米3冠競走の予備登録にも名を連ねているとなれば…。
「アメリカ遠征?そりゃあ行きたいね。(コ
ロナ禍の)このご時世だから
ケンタッキーダービーは難しいかもしれないけど、ピーターパンSから
ベルモントSとか。落ち着いたころなら…」と藤沢和調教師。ちなみにピーターパンS→
ベルモントSは2008年に
カジノドライヴで夢半ばに終わったローテ(1着→直前に取り消し)でもある。
父
ペルーサは昨秋に種牡馬引退が発表されており、産駒は
ファーストクロップの
ラペルーズを含めた4世代のみとなる。しかし、
ラペルーズの走りが世界に轟(とどろ)くようなことになれば…。父の復権への道が開けるかもしれない。
(立川敬太)
東京スポーツ