クリストフ・ルメールが騎乗する1番人気の
カフェファラオは、内の3番枠から他馬と横並びのスタートを切った。軽く促しながら内と外の馬を先に行かせ、先頭から3馬身ほど離れた5番手で向正面を進んだ。
「今日はチークピーシーズをつけていたので、アグレッシブなレースがしたかった。いいスタートを切って、いいポジションにつけることができました」とルメール。
前半3ハロン通過は34秒7、4ハロン通過は46秒5。
速い流れのなか、
カフェファラオは3コーナー手前でポジションを上げ、3番手で3、4コーナーを回った。
カフェファラオが進出したというより、周囲の他馬が後退したような感じだった。
カフェファラオはコースロスのない内を回りながら前との差を少しずつ詰め、直線へ。
「流れは結構忙しかったけど、ずっといい反応をしてくれました」
そう話したルメールは、ラスト400m地点では軽く仕掛け気味にする程度だった。そこから、まず、2番手の
ワイドファラオをかわし、ラスト200m地点で内の
エアアルマスに並びかけると同時に、
ゴーサインの右ステッキを入れた。
外から
エアスピネルが猛然と追い込んできたが、差を詰められると、
カフェファラオはルメールの叱咤に応えてさらに末脚を伸ばす。
カフェファラオは最後まで
エアスピネルに並ばせず、3/4馬身差をつけて押し切り、GI初制覇を遂げた。これで東京ダート1600mでは3戦3勝。勝ちタイムの1分34秒4はレース史上2番目に速く、良馬場では最速だった。
「今日は本当の力を出してくれました。馬の状態がよく、パドックから自信がありました」
そう振り返ったルメールは、昨年の
モズアスコットに次ぐ連覇で、これが同レース2勝目。
先行馬には厳しい流れのなかで好位をキープし、前をきっちりつかまえながら後ろを突き放す横綱相撲だった。
2着の
エアスピネルは、直線で前が詰まりかけたがスムーズに他馬をさばいて進路を確保し、メンバー最速の上がりで銀メダルを手にした。8歳ではあるが、今後が楽しみになる内容だった。
(文:島田明宏)