関東圏における
皐月賞への最終便・
スプリングS(21日=中山芝内1800メートル、3着までに優先出走権)で当欄が注目したいのは未勝利戦→
若竹賞と中山で連勝中の
ロードトゥフェイム。その2走は良馬場の未勝利戦が最速上がりを駆使しての直線一気、不良の
若竹賞は3角過ぎから馬群の大外をひとマクリと、対照的な馬場状態ながら、いずれもド派手な勝ち方を演じてみせた。
有馬記念制覇や
オールカマー3連覇など“中山の鬼”として知られる
マツリダゴッホをほうふつさせる勝ちっぷり。父同様の個性派キャラとして成長していきそうな雰囲気を漂わせている。
管理する尾形調教師は
若竹賞の際に「まだソエを気にしている段階でこの勝ちっぷり。完治したらえらい馬になる」と。当時は最終追い切りが終わった後からレースまでプールと運動のみの軽いメニューに終始せざるを得ない状況。そんな未完成な状態でのパフォーマンスだけに、トレーナーが完成形を夢見るのも納得がいく。
木幡巧を背にした10日の南ウッド3頭併せでは手加減することなくビッシリと追われて追走併入(5ハロン66.5-12.4秒)。一見すると、もうソエの心配はなくなったのかとも思わせるが、実情はそんなに甘くはない。
「追い切りの最中はいいんですが、その日の午後には少し痛みが出たようで…。ソエに関しては前回より“いくらかいい”といったところです。ただ、今度は重賞で相手も強くなるので、しっかり負荷をかけないとなりません。やるべきことをやったうえで、慎重にケアをして乗り切らないと」(尾形調教師)
若竹賞時の脚元の状況は調教師が10人いたら3、4人は出走しない判断を下すレベルだったという。今回も当時より“多少良好”でしかない状況ながら、攻め内容を控えることはせず、ギリギリのところで勝負手に出ているのだ。
「現状はまだ脚元のこともあって馬がマイナス思考だから太れない(=体重を増やせない)。それでいてここ2走のパフォーマンス。前々走も前走もジョッキーには“大外を回ってくれ”とレース前に言ったんです。“(進路が)詰まったりといった不利さえ受けなければ勝てるから”と。やはり能力はすごいものがあります。だから今は普段から脚元をよく触って、その判断(体調と調教の
バランス)を間違わないようにすることだと思っています」
ソエの痛みは気持ちが落ち着いている時ほど馬が感じやすいという。ゆえに有観客で、歓声の中での競馬のほうが「影響が出にくいのでは」と尾形調教師は推測する。今はまだ静寂の時だが、その先の大舞台(中山、東京)で有観客競馬が戻ってくる可能性も。その時こそ、
ロードトゥフェイムの真の強さが証明される瞬間になるかもしれない。
(立川敬太)
東京スポーツ